圧しの一手

朝起きて、準備を終えて事務室に行く途中に


「伊代、おはよう!返事はまだか!」


授業の途中に出会って


「伊代、またあったな!返事はまだか!」


委員会が終わった後に出会って


「伊代、今日の夕飯はなんだ!返事はまだか!」


一日に十回以上迫られて、これが十日以上続いて、周りから楽しそうな視線をいただいたら、思わず返事をしてしまうでしょう。


「伊代、おやすみ!返事は?」


「…お、やすみなさい。七松くん。あの…」


「おう?」


「私なんかでよければ…」


もらってやってください。

本当にちいさな声で言った言葉に、七松くんは瞳をキラキラ輝かせた。


「うん!春休みになったら我が家に来い!」


「…よろしくお願いします」


よく考えてみると、私は後ろ盾もないから、この世界では結婚なんてできないだろうし…女の幸せを考えてみたら良い物件だろうと思った。

…断ったらどんな事が起きるのかがわからなくってこわかったのもある。

しかし、何で七松くんは私にしようと思ったのだろうか。私に魅力なんてものはないのに…まぁ授業の一環だったとしても許そう。

彼氏とかできた事ないし、夢を見ても良いよね?


拝啓、父上様&母上様
婚約者ができました。
相手の言葉が本当かはわかりません。
本当だったらその時に考えます。



 

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