夢オチは却下致します。4
どうしていないんだ!?
七松小平太は学園を歩き回っていた。ふだん、塹壕を掘り終えた時や、体育委員会を終えた時に出会う天女様に出会えなかったからだ。
ココ最近、会えると思うとわくわくして、けれど会えないと変な焦燥感が駆け巡る。
その焦燥感が好きではなくて会いに行くのだが、今日は探しても探しても見つからない。
吉野先生に聞いたら、まだ来ていないと先生も焦っている様子だった。今までこういう事があった時はどっかしらで倒れていたらしい。
事務室にもいない、保健室にもいない、くの一長屋にもいない、天女様が普段通っている場所は全て行った。外に行ったという情報もない。
掃除をするにしても、彼女はいつも同じ行動を繰り返しているだけだからその道順を通るだけでいいのに。
「…いない」
もしや、天の国に帰ったのか?
彼女は天女だ。否定されてはいるけれど、私はそうだと思っている。
急に現れたのだ。急に消えてもおかしくない。
天女様が…いなくなる。考えただけでも、イライラする。ただでさえ見つけられなくてイライラしているのに、彼女がいなくなったら私はどうなってしまうのだろう。
…私は何を考えているんだ?忍びになるのだろう?七松小平太。何故、天女と言えどただの女を考えただけなのに【私はどうなってしまうのだろう】何て考える。
気持ちが悪い。どういうことなのだろう。この気持ちはなんだ。色は習ったはずなのに、これではまるで、色に溺れているようではないか。
焦燥感、供に居たい、会いに行く、しあわ…せ。
これは明らかに色だ。いや、色を使われた覚えはない。くの一のような事を彼女は一度もしなかった。
…恋だな。しかも初恋。こんな事を思ったのは初めてだ。むしろ何故今まで気付かなかった。少し、手を出してしまった事もあっただろう!?
自問自答しつつ、歩いていた足を速めた。
恋だと気付いたなら話は早い。さっさと告白でもして振られるや何やらをしよう!
こんな気持ちを抱えていたら、忍びになんてなれる訳がない。確実にドジをして死ぬだろう。
そういえば、天女様は人が通らない道をよく通っているらしい。くのたまが教えてくれたと、この間喋っていたな。
今まで通っていない道を思い浮かべる。くのたまが多く通るため、忍たまは滅多に行かない道だ。
進む方向を変えて、速めた足を更に速める。
こういうのはさっさと行かないと駄目だと、昔誰かが言っていた。
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