→夢=現実は望んでいたこと?


ふんわり、ふんわり

夢を見ている

そう気付く


白い蛇が出てきて、その蛇が、私の足にするすると近づいてきた。

そして呟くのだ。


ひとりはさみしい


そう言って、私の足に巻き付く

なんで蛇が喋るのだろう。

そう思いつつも、蛇をはらおうなんて思わなかった。

蛇はいいものだ。

小さい頃に、近所の山で迷子になった時に白蛇に道を案内してもらった事がある。

あれは夢だと思っていた。もしくは、迷子になった時に幻覚でも見えていたかと。

けれど、やっぱりあれは夢ではなかったのだな。と夢の中で思う。


「あなたは神様?」


問いかけても、うんともすんとも言わない


「神様なら、私を、元の世界に戻して」


私も、この世界でひとりっきり。寂しいよ。


狂ったかのようなこの言葉だけど、私を返せるのはこの蛇だけ

そう直感で感じる。

チロチロと舌を出して、ジッと私を見てくる白蛇に、私もジッと見つめ返す。


ひとりはさみしい


同じ事を繰り返して言う白蛇に、望んだ返事をして欲しくて、だんまりと口閉じる。

お願い、お願いよ。


私を家に帰すと言って!


確かに最近は字を読むのにも慣れたし、書けるようにもなってきた。

人間関係も恐ろしいだけではないと知った。涙目でいる事はなくなった。

けど、けどね。

私は家に帰りたい!

もう何ヶ月も家族を見ていない。顔も、声も思い出せない。

学校の授業内容も思い出せない。友の顔も思い出せない。

見つめあって、見つめあって、結局白蛇は私の顔を見るのに飽きたのかそっぽを向いてしまった。

それは否定とも思えて、私は



パッと目を開いた。

見えるのはさっき夢の中でいた空間ではなくて、忍術学園で私に与えられた部屋

キョロキョロと周りを見渡して、自分の居た現代ではない事に落胆する。

現代に戻れるかも知れないという淡い期待を持ったのは、はじめてだった。


はじめて、だった。


「起きなきゃ」


溢れてきた涙を拭って、今日の仕事を思い出す。

特に何も予定が入っていない、もう慣れてしまった事務の仕事だ。





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