選択しろと言われたら。2



「誰に言えば貸してもらえると思いますか?」


闇雲に忍たまに女装服を貸してくれと言っても、私がタダの変態のような感じになって悲惨な状況を作り出す事しか思い浮かばないので女子三人組に相談してみる事にした。

三人とも首をひねって頭の中をくるくる回転してくれているようだ。とっても優しい。

さすがくのたま!怖い所はとっても怖いけれど、優しい所はめちゃくちゃ優しいから好きだ。


「くのたま陣は全滅よね」


「事務のおばちゃんは…今日は休みだわ」


「いっそ忍たまに借りたらどうでしゅか?女装の授業用に一着は持ってるはずでしゅ」


「忍たまって誰に?私達と同じ年の忍たまは私よりちっちゃいのよ?伊代さんの服にはちょっと無理よ!」


「先輩…っていっても、私達はくのたま一年だから接点がないわ。それに伊代さんも伊代さんだから…」


「伊代しゃん、仲の良い忍たまはいないんでしゅか?」


「仲の良い忍たま…ですか。そうですねぇ…いないです」


額に手をあてて仲の良い…を探り出そうとするけれど、一人も出てこなかった。


「「「えー!一人もいないんですかぁ!?」」」


「えっと、話しかけて下さる方はたまぁにいらっしゃるんです。けれど、私も仕事で忙しいので…」


「当たって砕けてみましょう!そのたまぁに話しかけてくれる人ってどなたですか?」


「一番多いのは、七松小平太くんって、あれ、どうしました?」


グッと握り拳を作っていた三人がへにゃりと崩れる。


「なんで七松小平太先輩なのぉ」


「もっと他の先輩いるじゃないでしゅかぁ」


「ご、ごめんなさい…?」


「でも、七松先輩と伊代さんって身長近いわ!伊代さん、着物を使うのっていつなの?」


「明日です。明朝に学園を出るのでそれまでに借りないと…ちょっと可笑しな事になりますね」


事務員と書かれている忍服のようなものを着た女性が歩いていたら目を引くだろう。悪目立ち必須だ。

目立つのはよくない事だから、それは阻止しなくてはならない。


「五年のくのたまって誰かいた?」


「行儀見習いの先輩ならいましゅ」


「じゃあ先輩にお願いしに行きましょう。さ、立って下さい伊代さん」


「え、と…どこに行くんですか?」


「五年のくのたまの先輩に、七松先輩に毒持ってくれるように頼みに行くんです」


「解毒剤が欲しければさっさと女装用着物よこせ!って言えばよろこんで貸してくれるわ!」


「安心してくだしゃい。伊代しゃんに迷惑かけないように操作もしてくれましゅ」


「…毒なんてそんなにうまく盛れますかねぇ」


乗り気になっている女子三人組に、とんでもないこと言ってるけど大丈夫なのかなぁと思った。

否定しないで乗るのは、真正面から着物を貸してほしいと言うのがこわいからだ。

あと、何だか楽しそうに笑っているのもある。

仲良い子の笑顔があるなら、もう一方で知り合いの涙があってもいいんじゃないかしら。


毒なんて言ってもお腹壊すくらいだよね…?


そのあと見せられた毒がとてつもないもので、くのたまに土下座して自力で七松くんに頼みに行くのは別の話。


あとがき

主人公の身長は久々知より若干低いくらいです。女の子にしては高い。今の時代だと普通よりちょっと高めってくらいだけど、室町だと身長かなり高いです。
女の子の服とか借りたらつんつるてんで、6年生くらいの女子ならつんつるてんでも、まぁまだ見れる程度だなって感じ。
女子三人組の服は肩幅からして服が可哀想って感じ。だって大人と子供の身体の違いだもの。着物だからやろうと思えば着れるけれど、やっぱり丁度いいのが見栄えが良い。
今更ですが、主人公はくのたまと仲が良いです。





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