痛い…。
身体の節々に痛みを感じて、身じろぎしたら壁にぶつかった。
なんで壁にぶつかるの?
疑問を抱いて身体を動かそうとしても、狭くて動けない。
暗くて狭いし、何だか訳がわからない。
何度か動いてみて、どうやら自分は箱のようなものに閉じ込められているようだと気付く。
ガタガタと大きく反動をつけたら出れるかも知れない。
よくわからない状態は怖いし、ここがどこなのか確かめたい。
さっきまで私は…そうだ。
チュンジャクちゃん、という大きいスズメさんと一緒にいた。
あれは夢で、この箱?の外に出たら…学校帰りの、コンクリートの地面に戻ってるかも。
そんな淡い期待をこめて、身体を動かす。
狭くて、身体を動かすたびに皮膚が擦れて痛みを感じた。
ばたん、と箱が倒れて、箱のフタが外れる。
フタがあった事と倒れた衝撃に、いたっと小さく声が漏れた。
箱の中から見えたのは、骸骨だった。
「だ、誰かいますか…!?」
いきなり見えたものに、怖くなって人を呼ぶ。
返事が聞こえなくて、誰もいない。と小さく呟いた。
骸骨にびくびくしながら、そっと立ち上がる。
傷んだ畳みや、雑に直された天井などを見て、家の中だと確認する。
骸骨の置物を置くなんて、趣味が悪い。
期待してた、コンクリートの上じゃない所をみると、ここは現実みたいだ。
怖いし、行く場所なんてないけど、さっさとこんな場所を出ていこう。
チュンジャクちゃんに会えば、ツケだけれど…寝る所を紹介してもらえ………。
あれ、チュンジャクちゃんは…?
一緒にいたよね。
なんで近くにいないんだろう。
確か、さっき…なんか
そう、そうだ。
私、殴られて気絶したんだ。
サーッと血の気が引く。
先にチュンジャクちゃんが殴られた。
もしかして…チュンジャクちゃん、食べられちゃった…?
スズメを食べる地域もある…けど…い、いやいや、食べられたわけじゃないよね!
たぶん、見世物小屋とかに売られちゃうんだ!私含めて。
見かけは訳わかんないけど、いい子なチュンジャクちゃんがそんな事になるなんてたえられない。私の寝床的な意味も含む。
「捜さなきゃ…どこにいるんだろ…?」
家の中を怖いながらもごそごそ探ったけれど、チュンジャクちゃんはいなかった。
見付かったのは、私がさっきまで持ってたスクールバックだけだ。
もしかしたら逃げたあとかも知れないと、外を捜そうとして障子に手をかけようとした。
けれど、目の前の障子に映った影を見て、手をひいた。
これは、なんの生き物の影?
「ヒヒッ、さっきからゴソゴソと手癖の悪い小娘だねぇ」
「人…じゃ、ない?」
着物のような影に、手は鳥のよう。
パァンと、障子が勢いよくあいて、見えたのは、
「そんなに生き急がなくてもいいじゃないかィ」
「おばあ、さん…?」
「そんな不思議そうな顔をして、どうしたんだィ?せっかく楽にしてやろうと…思ったのにねェ」
ニヤリと笑って、握っているカマを振り下ろす。
それに驚いて、ヒヤリとしながら避けた。
ずべっと足を滑らせて、尻もちをつく。
「おやおや、逃げなくても…痛いのがイヤなのかィ?だったら…動くんじゃないヨ!!!」
こわい
ギュッと目をつぶった。