大神 | ナノ


学校の帰り道に、図書館に寄った。
ちっちゃい頃からよく寄る図書館で、私は子供の頃から絵本が好きだった。
どれか絵本を借りようかなって思って、図書館を見て回って、いいなぁと思った本を手に取る。

舌切りすずめ

おばあさんが怖いけれど、ちいさな頃から好きなお話。
この作家さんは見た事ないなぁ。借りようかなぁ。
少し悩みながら、隣に置いてある本にも目が移る。

一寸法師

これも好き。
お椀で旅に出るとか、私はしたくないけれど、勇気が少しずつ溢れてくる。
作家さんはおんなじ人みたいだ。
どうせだから、この人の描いた絵本をごっそり借りて行こうかな?
かぐや姫や、桃太郎。
メジャーな絵本ばかりだけど、絵柄によって雰囲気はごっそり変わるから、何度読んでも飽きない話で全部好きだ。

「…おお、かみ?」

腕の上にどんどん乗って行く絵本たちの中で、少し太いものが目に付いた。
見た事のないタイトルに、あれ?と首を傾げる。
表紙は殺風景に、【大神】と漢字だけ。
裏にも何も書かれていなくて、不思議な絵本だと気になった。表紙からして、絵本ですらないかも知れない。
腕の上に積み上げていた絵本たちの冊数を数えて、この【大神】という本を入れると11冊になってしまうなぁ。
と眉を寄せた。
図書館で借りれる本は10冊まで。

どうしようかなぁ。

少しだけ悩んでから、明日、10冊借りよう。と意思決定。
今日この絵本だけ借りれば、明日には太くっても読み終わってるはずだし。
積み上げていた絵本を、元の場所に戻して、1冊の絵本だけをカウンターに持って行って借し出し手続きをした。
明日、今日借りなかった絵本が、誰にも借りられてない状態だと良いなぁ。
まぁ、借りられてても、貸し出し予約をすればいいかぁ。

借りた本を腕に抱えて、図書館を出た。

図書館を出てすぐに、好奇心がうずいてぱらりと本をめくる。
めくったら、ふっと、風のように本が消えてしまって、

「すずめ…?」

大雑把にめくった絵本の場景が、そこには会った。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -