「あ、善法寺ではありませんか」


「海老名…ありませんかって、僕たち同じ組だよ」


教室に入ってすぐにめについた人影に声をかけた。


「こんな朝早くにいるとは思いませんよ」


「今日の日直だもの、しょうがないじゃないか…早めにこないとなんでか終わんないし、僕はまだ寝てたいよ」


「そうですか」


「海老名はなんでこんなに早いの?」


「私も日直です。日直を早く済ませて鍛練をしようと思って早くきました」


だからさっさと終わらせましょう。

別に朝の日直なんてやることはほぼ全くない。

だからすぐに終わるだろうと高をくくっていた。


「…善法寺…何をしてらっしゃるんですか」


「わ、わざとじゃないんだ!」


「わざとだったとしたら私は貴方を殴っています」


そう思ったのに、チョークを入れてる箱を落とすわ花瓶の水を替えようとして盛大に転び水浸しになるわ。

善法寺の尻拭いで結構時間が経ってしまった。

ドジっ子すぎる。

こりゃぁ、朝の鍛練は無理だなぁ。まぁ、一日くらいサボっても問題ないか。夕方にやればいいし。


「善法寺、朝食はいただかれました?」


「まだだよ」


「私もまだなのです。だから食べに行きましょう」


「…いいの?」


「駄目でしたら誘いません。嫌ならお断り下さいませ」


「嫌じゃないよ!嬉しい!!」


えへへ。とへにゃっとした笑顔を浮かべる善法寺に、何故そこまで喜ぶんだ?と疑問に思いながら手を引いて食堂へ急ぐ。

さっき確証したけど、この子かなりのドジだ。だからこの間も落とし穴に落ちまくっていたに違いない。

そのドジに付き合っていたらいつまでたっても食堂にはつかないだろうと思っての事だ。



食堂に着くと、ちょっと混んでいた。

座れないって程じゃないけれど、席はとっておかないと座れなくなる。


「善法寺、席をお願いします」


「うん、わかった」


善法寺に席をとっておいてもらって、おばちゃんにA定食とB定食を一つずつ注文する。

あとで食券をもらおう。奢ってあげるなんて優しいことはいたしません。だって私のお金じゃなくて親からの仕送りだ。


「好きな方をどうぞ」


「いいの?」


「私はどちらでも構いませんから」


定食を見比べて、Aを持っていった。

Aは魚でBは肉だ。私は魚を食べるのが面倒だと思ってたから丁度いい。骨がめんどいんだよね。

現代っ子だったから魚は滅多に食べなかったし、この世界にきてから食事がめんどくさい。


「骨に気をつけて下さいね」


「ありがとう」


もぐもぐと御飯を食べながら、今日の授業の事を話す。

あぁ、今日は手裏剣が実習内容か。あれダーツみたいだけど、私にゃ無理だわ。ダーツなんて田舎もんの私はやったことなかったし。

しかも金属って重いよなぁ。全然飛ばない。やる気出ないわ。

最近数寄に付き合って食べているので、早食いが得意になってしまったなぁと最後の一口を口の中に放りこんで、お茶を手に取った。

私が食べ終わった事で焦ったのだろう、善法寺が慌てた所為で味噌汁をこぼした。勿体無い。慌ててこぼした味噌汁を拭いている善法寺を見てふと思う。


「善法寺は食べ方が綺麗ですね」


「へ?」


「魚が綺麗にほぐれてます。私は魚を食べるのが下手ですから羨ましいです」


「僕、今味噌汁こぼしたんだけど…」


「では、魚を食べるのがうまいのですね」


「訂正されるのもちょっとむなしい…でも食べ方を褒められるのは初めてだよ」


「そうなのですか?」


「そうなのです」


お茶を飲みながら、のんびりと善法寺が食べ終わるのを待っていると、ガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきた。


「あーみんな起きてきたんだね」


「そのようですね」


食堂に入ってくる緑色を見ると同学年だった。

先頭で口喧嘩をしながら入ってくる数寄と、食満に溜め息をつきそうになる。二人は仲が悪い。たぶん数寄の喋り方が原因だ。


「あ、二助!!テメェ起きたらいなくなっててビビったじゃねーか!!」


「そんな事言われても私は日直だったから早起きしただけだ。昨日の夜言っただろう」


「んなこた忘れたに決まってんだろーが!!」


「朝に声かけた」


「知らん!!俺ぁ寝てた!!」


「そうか。飯をとってこい。混むぞ」


ガーと会って直ぐにハキハキと喋る数寄は元気だ。私は朝っぱら起きて直ぐにそんな元気な声は出せない。

御飯を受け取りに行った数寄を見送ると、ぷくぅと頬を含まらせた善法寺が居た。


「…海老名」


「はい、なんですか善法寺」


「なんで夢飼町には敬語じゃないの!?僕だってためぐちが良い!!」


「…何故ですか?」


「だって友達じゃないか!って、あれ?そう思ってるのって僕だけ…?」


急に捨てられそうな犬みたいな目をした善法寺にどうすればいいんだろうと周りを見る。

声を張り上げて言った善法寺の所為で注目を浴びていた。

いや、だって数寄に敬語じゃないのはあれだもん。敬語で喋ると怒るんだもん。

それにあの喋り方とっても疲れるのだ。中途半端に元々の喋り方とも違うから、正直数寄にもやりたくない。

けれど、敬語を取らないと善法寺は泣きそうな感じもするし、周りの視線も酷いので


「わかった」


一つ頑張ってこの口調をマスターする事を決めた。前も頑張って敬語もどきマスターしたしどうにかなる。

でも、この喋り方数寄と一緒なんだけど…まぁいっかぁ。喋り方一緒の奴なんて世の中いっぱいいるよね。



この時点では食満と善法寺は仲良くない。しかも同室じゃない。普通レベル。
オリキャラの夢飼町と善法寺は仲良くない。理由は善法寺の口調がなよなよしてるから。
そして、主人公は夢飼町と口調一緒だと思ってるけど真似してるだけなのでちょっと違う。
夢飼町はべらんめぇイメージ。主人公はべらんめぇできない。


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