壱
小さいころから、神様とかそういう存在はまぁまぁ信じていた。
それは信心深い祖父母が居たからで、近所に住んでいた二人と一緒に散歩がてら神社にお参りしてたからだと思う。
毎日毎日祖父母につれて行かれるから、おおきくなっても癖のように神社にお参りしてしまう。
その地域にいる人が守っている小さな神社で、愛された神様が居る場所だった。
私みたいに若い人は毎日くるわけでもなかったけれど、みんな神様に感謝してたのだ。
それなのに…なんでこんな意味のわからない状態になってるんだっけ。
そう、たしか、友達と一緒に…三人で、神社に行ったはず。
特になんともないちょっと平成の世にしては不思議かも知れないけれど、普通の行動のはず。
ものすっごい祈りが長すぎる友人二人にドン引きして、早めにお参りをおえた私はぼけっと鳥居の方を見ていたはずだ。
なにが起こった。
意味わからん。
ちょっと瞬きをしたら知らない場所。
後ろを見ても前を見ても右も左も上も下も
見たことがない。
……誰か今の状況を教えて下さい。
そう思っても、教えてくれるように人が近くにいるわけでもなく、しばらくジッとしていたけれど誰もこないので移動。
…そう思い足を動かした。
…違和感
なにか、…ある…。
手を思わず股に伸ばす。
「ひ…ひぇぇぇあああ!!!」
ついてる!!!?
股間にある物体を触ったとたんに意識はブラックアウト
ショックだったのもある。
だが、ショックだけで倒れるものでもないのというのはわかるのだろう。
…ちょっと触ったあとに驚いて強く握り過ぎて、痛みに悶絶して気絶。
切ない。
ここまでくればわかるでしょう。意味がわからないことに、私は何故か男になってた。
理解できない。
しかも若返っていた。
理解できない。
そのうえ、タイムスリップして知らない人の子供になってた。
理解できない。
私にどうすれというのさ。
一月近く悩んで悩んで悩んで。
放棄
もう無理だわ。考えられない。
とりあえず、私は神様に嫌な事をしてしまったと考える事にした。だから神隠しのような事をされたのだ。嫌なことをした覚えない所が切ない。
周りの大人もうるさいし、引きこもるのは止めてこの身体どおり子供らしく過ごしてやろうじゃないか。
…こどもらしくってどうすりゃいいんだろなぁ。あぁ…やっとこさ中二病から脱出したばっかりだったのにこんな事になるなんて…!!
受検対策はじめたばっかりだったのになぁ…。
子供らしく過ごそうと決め、引きこもりを脱出し、過ごしたわけだけど。
まわりに子供がいないので見本がなく、まわりの人間はしらない人しかいないし、不安でしょうがなくって、おとなしい少年になってしまいました。
虫とりよりも、花を愛でる。
この身体の両親に記憶障害と認識されているので、家庭教師にひたすら勉強をさせられたり…いや、不満はないんです。
おいてもらえてるだけでありがたいし。
結局外に出ずの生活。あれ、私の決心どこ行った?
話の合う人もでてこないし、外に出るのも怖いし、ヒキNEETをするのもかなり慣れた頃に、この身体の父親に出掛けようと言われて外に出た。
馬に乗せられえんやこりゃ。どこまで行くの?と声をかけるにもかけて良いのかわからずにひたすら黙って周りを見てた。
どんどん離れて行く家に、あれ、これ出かけるっていうよりも私捨てられるんじゃね?
そう考えたけど案外間違いではなかった。
軽いノリで出かけようと言われたけれど、馬に乗って十日以上移動したし、父親の装備がとっても多い。
声をかけるタイミングをひたすら逃しまくっていたら、大きい塀のあるお屋敷に入った。
旅館とかではなさそうだけれど、なぜか長机に受付と大きく張り紙があった。なに、美術館とかそういう系?
父親の顔色をうかがっても無表情で全くわからない。手を引かれて受付を済ませて。
ぽん
と父親に風呂敷を渡されて頑張りなさいと頭をなでられ放置された。
どうやらここは忍術学園という場所で、忍者を育成する学校らしい。
親に何も言われず放置された私を見兼ねた学園の教師が説明をしてくれた。
はぁ…と生返事ですませたけれど、聞いたことのある名前に腹筋が震えた。
だれだよこのふざけた名前つけた人…案内された学園内で見掛ける格好も見覚えがある。
ちいさい頃みたアニメだ。
…この学校をモデルにしたアニメだったのか。忍者の学校のくせに資料を残してるなんてちょっとお間抜けな学校だ。
友達を作らせようとしたのか、捨てられたのか、忍者にしたいのか。
どれでもいいけれど、事前説明は必要だと思う。
家に帰るとか騒ごうにも、家への帰り方もわからないから騒げないし、とりあえず頑張ってこの学校に慣れないといけないなぁ
慣れられるかなぁ…がらりと、開けた教室の騒がしさに途方に暮れた。
一年は組
子供の頃に見たアニメと、見た事があるキャラクターは当たり前だけれどいない。けれど、アニメと同じように教室は騒がしかった。
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