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『悲嘆の女王』

彼女は赤薔薇を愛している。
赤薔薇は彼女にとって、血の赤を象徴するものだから。

彼女は『この世界のものでは決して死ぬことの出来ない呪い』を受けている。
死にたくても自らの手では死ぬことは許されず、また他者の手を使っても死ぬことも許されない。
唯一彼女を殺せる“時”すらも、時を止められ奪われた。
最早彼女は死を手に入れることが出来ないのだ。

それでも彼女は死を求める。
憎き悪魔の手から逃れるために。
今日も自らの血の赤を求めて、彼女は残虐非道な命を出す。
死ぬことが不可能な自分を、復習と言う名の殺意で、運良く誰かが殺してくれることを願って。
不可能と知りつつ、一縷の望みを掛けて、彼女は残酷な女王と成る。

彼女は赤薔薇を愛している。
それは自らの死を願うが故に、彼女は赤薔薇を愛す。
しかしその思考すらも───王(悪魔)の策略とも知らずに。

2013,11,17

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