17*
「ーー…っ、ま、まだだしてな…っ」
「へえ…」
先を促すみたいに乳首に爪を立てられてあっさり白状してしまった僕は、眼前に迫った榎本さんの黒い笑みに戦慄を覚えた。
尿道にも爪を立てられてがくんと背中を丸める。
甘い愉悦の中強すぎる痛みが襲ってきて、僕を支配していく。
「あっ!あっあっ、んんんっ」
「く…っ、ヤバ…はっ。そんなに締めたら…」
「んーっんーっ、んんぅっ」
後ろからの突き上げと一緒に性器を弄る手が動き始め、一回りも二回りも大きく太く育った理事長の男根が前立腺を掠めた。
乳首には爪が食い込み痛々しい程赤く腫れ上がっている。
存在を忘れられていたかのようにゆらゆらと宙をさ迷っていた白い尻尾をすごい力で引っ張られて、目の前の胸板に縋り付いた。
「ひ…っ!も、だっ、んあっんんっ、ぅんんーっ」
唇が塞がれ榎本さんの腕に抱きしめられたまま、僕は達していた。
今日初めて襲ってきたまともな射精感は脳味噌が溶ろけてしまいそうなほど濃厚で、まだ性を小分けにして吐き出している。
少し遅れて僕の中で理事長のそれがどくりと波打ち、熱い物が注がれるのがわかった。
「げ、出ちゃった」
「早漏」
「ひ、ひど…!」
ぐったりと力の抜けた体を榎本さんに抱き込まれながら、理事長の性器が出て行く感覚に腰が震えた。
ドライでイった時みたいに断続的に襲ってくる射精感が無い分頭はすっきりしているはずなのに、体中の筋肉がなくなってしまっているみたいに力が入らなくなっていた。
せめて少しでも体勢を直さないと、榎本さんに負担がかかってしまう。
だって僕は男だし、重いし。
そして何よりこの状況は恥ずかしすぎる。
そう思って動かそうとした体は結局、肩を抱かれている腕にがっちりと拘束されていて身動きがとれなかった。
「終わったんなら仕事戻れば」
「そ、そんな…っ」
「確かデスクの上に書類が山ように積んであったような気がしたんすけど」
「えっ!?いや、あれは…」
「……………」
「い、…行ってきます」
榎本さんの体にぺったりと張り付いた格好のままで扉に視線を移すと、しょんぼりしたまま出て行こうとする理事長の背中が見えた。
「………樹くぅん」
「早く行けっつってんの」
「う…っ。わ、わかったよおおおーっ!」
自棄になったみたいに大きな声をあげて出て行った理事長の声が閉まってた扉の向こうからもまだ聞こえている。
でも、そんな事よりも僕は耳元で聞こえる鼓動の音に意識を奪われてしまっていた。
肩を抱かれている手があったかい。
それにいい匂いがする。
コロンでも付けてるのかな。
すごく、甘くて。
すごく、いい匂いだ。
自然と尻尾が左右に揺れ始めて、耳もぺったりと垂れてしまう。
あまりの心地よさに頬摺りをし、僕はうっとりと目を細めた。
「…藍沢さん?」
「え?…はっ!あ…っ、や、ちがっ、これはっ、…ご…ごめんなさ…」
「…」
すでに真っ赤に茹で上がった顔をのぞき込まれて、今自分がした行為の恥ずかしさに居たたまれなくなった。
慌てて逸らして露わになった首筋に口づけられて体が跳ねた。
「!?…わっ」
そのまま押し倒され、ベルトのバックルを外す音が聞こえた。
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