16*

ベッドの上に膝を付く前に背中を押されて前のめりに倒れそうになったところで、榎本さんの胸に抱き留められた。


「あ…」


少し動けば唇が触れてしまうんじゃないかというほど近い。
青い瞳に見つめられて僕は息が出来なかった。


「!あ…っだめ、ひッ、あああっ」


必然的にお尻を突き出すような体勢になり、本格的に抜き差しを始められて思わず榎本さんにしがみついた。
いかにも上質そうな縦のストライプの入ったグレーのベストが見えて、咄嗟に体を離そうとすると、乱暴に髪の毛を捕まれて上を向かされ唇に噛みつかれる。

唇の上にねっとりと舌を這わされた後、ぬるりと口内に進入してきた感触に身震いした。


「…っまた締まった」

「んっんっ、……っんううっ!」

「妬けるなあ。はあ…っ、俺が犯してんだよ?」


ぐちゅんぐちゅんと後ろから突き上げられて頭が真っ白になる。
深く合わさった唇の隙間を縫ってかき混ぜられ、僕のものよりも少し低い温度の舌にあっという間に夢中になってしまう。

自らもおずおずと舌を絡めると髪の毛を掴んでいた手が甘やかすような優しいものに変わり、僕はうっとりと目を細めた。


腰に添えられるようにして撫で回す理事長の手も、まるで宥めるかのように髪を撫でる榎本さんの手も、何もかもが気持ちよくてたまらない。


「んーっんーっ、んはっ、さ、触んな、で…っあうっ」


きゅっと握り締められそのまま扱かれてしまう。
性器がびくびくと震え、また先走りが溢れた。

耳元に唇を寄せられて熱い吐息を吹きかけられる。


「今日は何回イったんすか」

「…っな、あっあっ、ひ…っ」

「何回イったの」

「わ、わかんな…っあっ」


問いただすみたいな言葉に混乱する。


――だって、何回イったのかなんてわかんない。

空イキなら何度もしてるけど、それは榎本さんの言う“イった”に入るんだろうか。

虚ろな意識の中賢明に言葉を探すけど、後ろからの突き上げと前を弄られる快感の強さに翻弄されて上手く伝える事が出来ない。


「ここから白いの出したのかって聞いてんの」

「あっ、ひあ…っ!」

「ほら、ちゃんと答えなきゃ」


後ろから伸びてきた理事長の手に胸の突起を摘まれ意識を引き戻される。




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