14*

「……っ」


顔面が燃えるように熱い。

真っ赤になってしまった顔を今更隠せるはず無いのはわかってるけど、どうしても恥ずかしくて顔を反らして目をぎゅっと瞑った。


「まさか…」


何か言い掛けてやめた理事長が気になって目を開ければ、榎本さんと僕の顔を交互に見てから困ったように頭を掻いているのが見えた。


「えー、あー…まじで…?…参ったなあ」


何に参ったのかわからなくて、視線を榎本さんに向けると、合った瞬間すっと細められた。

途端、心臓が跳ねて同時に内股がひくんと震えた。


「樹くんの中、ぎゅんぎゅん締め付けてきてるよ。見られると興奮するの?それとも榎本くん限定?」

「ち、ちが…っちがうっ」


ぶるぶると顔を振って否定するけど、榎本さんの真っ直ぐな瞳の前では無意味だ。

握られた手首から伝わってくる熱に心拍数がどんどん上昇するのがわかった。


「藍沢さん」

「……っ」


たぶん僕の顔は今茹で蛸みたいに真っ赤だと思う。

名前を呼ばれただけなのに腰骨にまた電気が走って、耳と尻尾がぴくぴくと揺れた。


「あーあー…、どうしたって樹君は榎本君贔屓なんだもんなあ」


思いっきり瞑った目の端に涙の粒が浮かぶ。


恥ずかしい。

恥ずかしい。

恥ずかしい。


ここから逃げだしたい。


「…良いからさっさとそれ抜けよ」


人一人射殺せそうなほど鋭い目で榎本さんが理事長を睨みつけてる。


「えぇええっ!?い、いいい嫌だよっ!第一もう入っちゃってるし!樹くんだってこんなに気持ちよさそうなんだから今抜いたら可哀想だし、ね?」

「ひっ!?」


さっきから少しずつ位置を変えて、僕の中のイイ所を探してる理事長のせいで、地味に与えられてる快感に浅い息を吐き出しながら耐えるしか出来ない。

榎本さんだって僕が顔を見られないように隠そうとしてたのをわかってるはずなのに、わざと両手を抑えつけたままだ。

さっき中途半端に開けられたYシャツの端が、身を捩る度に胸の突起に触れるか触れないかの愛撫を繰り返していて、僕にとってそれは拷問と一緒だった。


「…チッ」

「はは…。榎本君のそんな顔、久しぶりに見たよ」


恥ずかしくて悶え死ぬんじゃないかと思った時、ずるうううっと理事長の長い性器が抜けていった。


「ひ……っ!……な、あっ」

「どうせだったらさ」


四つん這いに裏返された所を一気に貫かれてから、後ろから抱き抱えるような体勢にされる。


「奥まで入ってる所、榎本君に見せてあげなよ」

「…っ!?」


背面座位の体勢を取らされてると気づいたのは榎本さんの青い目に真正面から捕らえられた後だ。


「…ひっ…い、いやだっ、みな、みないでえっ、あ゙ああああ…っ!」


膝裏を抱え上げられて下から思い切り貫かれる。

前立腺を擦り上げられて痛いのに気持ちよくてガクガクと足が震えた。

いやだ。怖い。そう思いながらも快感を追いかけ始める体に頭が付いていかない。


「っ、男の子初めてで良くわかんないんだけどさ」

「い…っひあっ、あっあっ」

「こんなに…っ締め付けるもんなの?」

「さあ?どうっすかね。俺もそんなに経験人数多い方じゃないんで」


どことなく余裕のなさそうな熱っぽい声が後ろから聞こえる。

それと一緒に吐かれた熱い息がくすぐったくて、手で耳を隠すように抑えればその上からねっとりと舐めあげられた。
指の間を掻い潜って耳の穴までたどり着いた舌の滑った感触に震えた。


「っ、耳、やめ…っ」





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