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溢れ出した涙を溜める事が出来ず、するりとこめかみへと流れ落ちていった。

理事長みたいに手荒に扱われるんじゃないかと思うと歯の根が合わないほど体が震える。


「…泣いてんの?」

「………」


とめどなく流れる涙を、腕で必死で隠そうとガードするけど余計嗚咽が止まらなくなった。
唇を噛んで声を出さないように我慢してみるけど代わりに肩がヒクヒク揺れて結局は台無しになってしまった。

まじまじとみつめてくる視線を両手で目元を隠し体を丸めて逃げようとしたがどうせバレてるに違いない。

しばらくの沈黙のあと、今日一日さんざんな扱いを受け続けた右の手首をがしっと掴まれ、結局顔を見られてしまった。

恥ずかくて目をこすり続けてると、再び手首を掴まれた。


「すいませんごめんなさい。もうしないんで泣きやんで下さい」


ちょっと焦ったみたいな声と同時に目元に柔らかいものが触れて、音も無く離れていった。

何が起きたのかわからなくて目を開けると、榎本さんの整った綺麗な顔が飛び込んできて驚きのあまり固まってしまった。


「本当にすいません。俺の勘違いでした。…てっきり旧副理事長が送り込んだ男娼の類かと」

「…だ……っ?ち、が…っ」

「わかってます。今回は俺の早とちり。あんた、ホントにビビってるって感じだし、こんな泣き虫な男娼が居て堪りますか」


心拍数の跳ね上がった心臓を落ち着かせるために、目を瞑り手で口を隠しながらひきつる喉で空気をたくさん吸い込んでから、肩を震わせながら吐き出した。


深呼吸を何回か繰り返した後、カチカチと音が聞こえて薄く目をあける。

それはまだ僕に跨ったままだった榎本さんがケータイをいじる音だった。
シンプルな黒のケータイを無駄のない動作で閉じると軽く息を吐いてから視線を下げて、太股の上に乗ってる榎本さんがのそりと動いた。

すると急に腰を上げて、スウェットを下着ごとずり下げた。


「ちょ?!、や…だッ」

「まだ元気っすね」


さっきのやりとりの中放置されていたおかげでせっかく半立ちくらいに萎えていたのに、ぷるんと現れたそれをやわやわと揉まれて、あっと言う間に元気を取り戻してしまう。



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