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「おうおうおうおう。てめぇらこの俺に喧嘩売ってんだな?上等だ一発殴らせろ。蜂の巣みてーにぼっこぼこにしてやるからよ。ケツの形も穴の色も皺の寄り方も完璧で、締め付け具合も最高ときてる。今まで何十人と見てきたがこんなに綺麗なケツ穴初めてだ。しかもド淫乱なんて俺はこいつに会うために今まで生きてきたんだと思う」

「てめぇのマニアックな感想文なんて聞いてねぇんだよクソハゲ」

「ハゲじゃねぇ坊主だ」

「はっ、それでおしゃれ坊主のつもりかよ。てめぇは何やったってゴリラにしか見えねえんだよ」

「青柳、てめぇ全国のゴリラに謝れ!今すぐ!」

「論点ずれてんだよ!今突っ込むのはそこじゃねぇだろうが」

「やんのかコラ」

「上等だかかってこいよ」


赤井と青柳がお互いのYシャツの襟元を掴み拳を振り上げたのと、ため息を付きながらもキイチ君が僕の腕を掴んで抱き起こしてくれたのは同時だった。

口元に人差し指をあててしーっと、内緒話のポーズをした後、手のひらに小さな紙切れを渡される。

ちらりと見ると11桁の数字と、アルファベットの羅列だった。


「あ、…え?」

「連絡してね」


有無を言わせないにこやかな笑みの後ろでは、血みどろの殴り合いが繰り広げられている。

その時、非常階段から食堂に続く通路に設置されている鉄製の扉が、急に揺れ出した。


ガチャガチャッドンドンッ


「おいこら!こ、ここを開けなさいっ」


ドアノブが乱暴に回され、激しく殴りつける音がする。
僕はびくりと身を縮こまらせて寄せ集めた服をぎゅっと抱え込んだ。


「やべぇ、見回りだ!」


金属同士がぶつかる音がカチャカチャと響く。


「チッ、こんな時に限って…」

「あっくん良いから早くっ」


ガチャガチャ


扉が開くのと同時に飛び込んできたのは、薄汚れた白衣に身を包んだのヒョロッとした漆黒の髪の男だった。


「お、お前達っ!な、何をしているんだ!」

「ちくしょうっ…今回は見逃してやるがテメェのその穴は俺のもんだからな。他の奴に勝手に使わせんじゃねぇぞ。良いか次会った時ガバガバになってたらただじゃおかねぇからな、わかったかっ!」


階段を途中まで駆け降りた所から、ビシッと指を差しながら怒鳴りつけてくる赤井は本物のヤクザみたいに怖い。


「ま、ままままちたまえ…っ」


恐ろしい捨て台詞を吐いて、三人は嵐のように非常階段を降りて行った。



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