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彼の始めの印象は無愛想で真面目、しかし笑うと一転して人懐こく、甘やかしてやりたくなる可愛いさだった。
気に入らない奴だったらボロ雑巾みたいになるまでこき使ってすぐクビにしてやろうなんて思ってたくせに、今では彼の泣き顔を思い出すだけで堪らない気持ちになってくる。

あの泣き顔に、どんな上質な女を相手にしているよりも興奮した。


最初に彼を送り出した時に、机の上の転入生に渡すはずの資料を見て来ていない事に気付き、廊下に出たのは運命だと思う。

理事会の時間も迫ってきているし、花菱にでも押しつけてしまおうと部屋を出たとき、あの宇宙人並に話の通じない転校生の喚く声が聞こえたのだ。
痛みに顔を歪める彼を見て無性に腹が立ち、腹の底の部分が重たく軋んだ。

それは自分意外の男がそうさせてる事に違和感を感じたからだったんだろう。

手当てをするために部屋に連れてきたのにあんなことになってしまったのは、彼があまりにも無防備だったからだ。

顔立ちは精悍なのに泣きそうに脅えてる、あの目に煽られた。
やけに色気のある唇から悲鳴に近い喘ぎ声が漏れる度に、たまらなくぞくぞくした。
均整のとれた体は男のそれなのに、白くきめの細かい肌を見たとき、無性に噛みちぎりたい衝動に駆られた。

快感に慣れた様子なのに抵抗し、涙の粒をのせた長い睫毛がふるりと震えるのを見てこの体をこんなになるまで開発した、見たこともないそいつにまで嫉妬した。
下に視線を移すと、思いの外華奢な首筋と、あらわになった胸元。
痛みでも快感になってしまうらしい彼の体は、時間を掛ければ掛けるほど淫らになっていった。
挑発的で扇情的な有り様を思い出し、自分が再び興奮してきている事に気づく。

湧き上がった衝動を認めながら、これから肩書きだけの偏屈な狸じじい共の相手をしなくちゃいけない事を思い出して、目元に手を当て深く息を吐いた。




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