理事長の暴走*
いつの間にか腰に巻きつけられていた右腕や肩に回されている左腕を外して欲しくて胸板を必死で叩くけどビクともしない。
すっぽりと胸に抱きしめられて改めて分厚い胸板の脈打つ逞しさを感じ、どうやっても勝てない敗北感に涙が滲んだ。
「――――っ!?っ、りっ…んん」
口を開いた隙を見計らってぬるっと入ってきた舌に上顎や舌の裏までこれでもかってほど犯されて、頭の芯がぼーっとする。
体がおかしい。
部屋の中に響く二人の息づかいと、舌が絡まる音が聴覚までも犯していって、じわりと股間が熱を帯びていくのがわかる。
「だから言ったでしょ。ぺろんと剥かれてぱっくんちょされちゃうよって」
「…っ、んっ、んんっ」
相手は男の人なのに気持ちよくなってきてる自分が信じられなくて、なんで、とか、どうして、とかそんなことばっかり頭の中で繰り返した。
答えの出ない迷路に迷い込んでしまったように、どうにも出来なくて、ぽろぽろと溢れてくる涙や、行き場もなくさまよう手だってどうしていいかわからない。
離れる間際、少し強めに下唇を吸い上げられて、ようやく離れてった理事長はフェロモンをまき散らしながら言った。
「もっと泣いてみせて」
ーーこの人は危険だ。
不敵に微笑んでいる理事長の腕の中で腕を振り回して暴れるけど、その全てが空回りしてあっさりと押し倒されてしまった。
息の荒い理事長の熱っぽい視線が体中を余すところなく這いずりまわっていく。
顔どころか全身が熱い。
こんなに格好よくて金も名誉も地位もある理事長様なら、相手もより取りみどりで、それこそ掃いて捨てるほど居るはずのに、どうして僕なんか。
「僕男なのに…っ、それに、理事長、ノンケって…っ」
「うん。でも俺樹くんなら全然イケると思う」
喋りながらTシャツをめくり上げようとしている理事長の手を止めようとして、逆に一纏めに拘束されてしまう。
僕の服を捲りあげ獲物を見つけた獣のように唇をぺろりとなめるのが見えて、ぞくぞくと悪寒が走り、それと同時にくらりと眩暈がした。
「キスだけで体中真っ赤になるなんてありかよ」
「っ!」
なんだか口調までちょっと違う理事長は、さっきとまるで別人みたいだ。
乳首をぺろりと舐められて跳ねた体がソファーに沈む。
「あの転校生にやられてた時から思ってたんだよ」
「え?ぃ…たっ」
「おまえ、いい顔して泣くのな」
唾液で濡れた乳首を長い指で痛い程こねられて、それとは対照的に啄むように体中に降らせてくるキスがくすぐったくて身をよじった。
「…っ!…ゃ…ゃめっ、そこは!」
「ガードが固くて良い子だね」
一見すると優しげな笑みが、僕には醜悪に見えるのはパンツの中に手を突っ込まれているからだろうか。
竿の部分を捕まれて亀頭を親指と人差し指で挟むように擦られて、腰の辺りから甘い痺れがじわりと広がっていく。
「っん…ふっ」
「でも僕はボクサーよりトランクスの方が好きだな」
動かしやすいからね。と耳に息がかかるくらい近くで囁かれて、今しがた遠回しに好きではない、と言われたボクサーパンツの中で激しく動かされ始めた手に自身が上り詰めていく。
ふるふると震える手で理事長のスーツにしがみつきいやいやと首を振る。
「も、ムリッあ、やだぁ…っはなしてッ」
「嘘つき。ヤじゃ無いでしょ」
「――ぃあ゙ッ!?!!」
出口に向かって暴れ出していたぐちゃぐちゃの性器の根本を思いっきり力を込められて、いきなり与えられた痛みに体が仰け反る。
ソファーから浮き上がり背中が弓なりに浮き上がった。
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