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『ふぁぁあ…』


欠伸を我慢することなく、そのまま大口を開ける

今の私の状態は「だるい」の一言で表すことができるだろう

外ではつい最近まで花を咲かせて桜色だったはずの木が新緑に変わり始めている。

季節が移り変わるとき独特のだるさが睡魔と共に襲いかかってくる。逆らう理由もないし、どちらかと言えば身を任せたい気持ちの方が大きかった私は、そのままゆっくりと目を閉じた

目を覚ましたときに、起きていなかったことを後悔することになることなんて知らないで。



♀♂



「神原さん、神原さん起きて」

『…ん〜』


ゆさゆさと体を揺すぶられて重たい頭を無理矢理上げれば、隣の席の天島くんが苦笑いで私の方を見ていた。


「席替えだって」

『えっ…』


驚く私に天島くん変わらない苦笑いで、「神原さんが寝てる間に席も決まっちゃったんだ。」と言葉を付け足した

…ありえない。

寝てる間に席替え終わってるとか。この素晴らしく居心地のよい窓側の一番後ろとおさらばしなくちゃいけないとか…。


『天島くんの力でなんとかならないかな。私このままがいいんだけど』

「うーん。無理かなぁ。窓側の願いは叶えてあげられると思うけど…」

『ほんと…!?』


黒板見てごらん。天島くんに言われた通りに黒板を見てみれば私の席は変わらず窓側の一番後ろだった






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