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「菜音ちゃん、放課後ヒマ?」
にっこり笑顔をはりつけて、折原くんは私にそう聞いてきた。
考えなくてもなんとなーく面倒臭そうなことは感じ取れる。…でも、どこかに行くのなら、場所を聞いてから返事をしても遅くない気もする
『どこか行くの?』
「ん?最近、駅前に出来たクレープ屋にでも行こうかなーって。」
駅前のクレープ屋。
確か種類が豊富でどれにも新鮮なフルーツや材料を使ってるって有名なお店、だったはず。値段もお手頃らしい。(セルティ情報)
『あそこのクレープ屋か…』
前々から行きたいとは思っていた。だけど行くのが面倒臭くて行かなかった。誰かに連れていってもらうなら少しは面倒臭くないかもしれない
(…でもなぁ)
そろりと折原くんを見上げてみる。そしてその後ろへと視線をずらせばたくさんの女の子たちが折原くんを見てなんだか幸せそうにしている
もし、折原くんの誘いに乗れば、あぁいう女の子に何かしらの感情が生まれて面倒臭い繋がりが出来かねない
そういうのはまっぴらごめんだ。紙に包んで燃やしてしまいたくなる
うーん……、とりあえずはっきり言えばいいか。折原くんならわかってくれるだろうし。
『……面倒ごとはお断りするよ。』
「…そっか」
折原くんはちらりと後ろに視線を投げた後、意味ありげに微笑んだ
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