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『有り得ない…』
お昼だから、じゃあね。と告げて屋上で折原くんとさよならしたまではよかったんだ。寝れてないから良くないんだけど。それよりも、だ。
『…お昼、持ってくるの忘れた』
これは死活問題である。 人間一日三食基本である。それなのに、私は、私は…!そのうちの一食である昼食を持ってくるのを忘れた
…どうしよう
こんなんじゃ午後を乗りきることなんて、出来ない。寝てればいいんだけど、やっぱりご飯食べたい
「あら、菜音珍しいわね。あんたがお昼忘れるなんて」
『…あ、悠莉』
いつものようにお弁当を持って私の元へとやって来た悠莉。…お弁当、いや、だめだ。あれは悠莉のだ
お腹減った、お弁当、悠莉の、だめ、お腹減った…エンドレスに頭の中をぐるぐる回る単語たち。
「半分、食べる?」
お弁当を開けてそう私に問いかける悠莉。…だめだ、そんなことしたら悠莉のご飯無くなる。友達のご飯を奪おうとするほど私は飢えては、いない!
鞄から財布を取り出して、勢いよく立ち上がる
『…購買、行ってくる』
「!?本気で言ってるの」
『うん。本気。頑張ってくる』
来神高校の購買は生徒たちから戦場と呼ばれている。理由は簡単そしてシンプル!成長期、食べ盛りの勇者たちが食料を求めて戦うからだ
「…無事に、帰ってきなさいよ」
『…うん』
悠莉の言葉に私はぎゅっと財布を握り締めると、購買へと向かうために教室から出た。
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