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「神原、はよ」
『あー、おはよ平和島。』
欠伸を噛み殺しながら学校へと歩いていると後ろから平和島が来た。なんなとなく隣に並んで歩いていると何故かあちこちから視線がぶっさぶさ刺さってくる。あれか、……わかんないや
「神原ってよ、何か部活とか入ってんのか?」
『帰宅部』
「それ部活じゃねぇだろ」
『部活だよ。寄り道しつつ一生懸命家に帰るんだから』
「一生懸命なのに、寄り道はするんだな」
『多少の楽しみも無いとやってられないからね』
そんなくだらない会話をだらだらと続けていく。いちいち百面相を繰り返す平和島はなかなか見物だった
学校に着いたらクラスが別だから平和島とは昇降口で別れて、自分のクラスの靴箱の場所へと向かう
自分の靴箱を開けて上履きをとりだした瞬間、なんか一気にやる気がなくなった。もともとそんなにあるわけじゃないのにね
(…サボるか)
窓から見える空はどこまでも青い。…うん、こんな日に授業受けるなんて人生損してる。
幸いまだHRが始まるまで少し時間がある。これなら教室で教師に会う心配もない。
自分の席に向けて鞄を放り投げて、私は席につくことなく、サボりにぴったりであろう屋上に向けて足を動かした
ふわふわ流れていく大きく白い雲。あれの上で寝てみたいと幼い頃どれだけ思っただろう。
雲は乗れるもの、虹は渡れるもの。子供の思考は本当にメルヘンチックなものだ。
正体を知ってしまった今、雲には乗りたくても乗れないなんてわかっているけど、なんだかんだで乗ってみたいと思ってしまうようだ。
(私の頭もまだまだメルヘンだ)
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