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「ねぇねぇ、菜音ちゃん」
『なに?』
「飴あげるからちょっとこっち向いて」
『………』


飴につられて警戒無しに折原くんの方に振り向いたのが間違いだった。


「はい、あーん」
『ん゙!?………気持ち悪い』


振り向いた直後ふざけた台詞を吐いた折原くんは、無理矢理飴を私の口に押し込んだのだ。…てかこの飴うま

舌の上で転がすと濃厚な抹茶の味が口内に広がる。

今まで食べた抹茶味でこれ一番美味しいかもしれない。


「ねぇ、菜音ちゃん」
『なにー?』


さっきよりは気持ち冷たくなく返事をする。だって飴くれたからね。少しは折原くん見直したから


「さっきさ、菜音ちゃんの好きそうなお店見つけたんだけど…。今日一緒に行かない?」


ほら、ここ。と差し出された携帯の画面に写っているのは、最近食べ歩き雑誌を見てちょうど私が行きたいなーって、思っているお店だった。

折原くん、よくここ私が行きたいと思ってるってわかったな。ちょっと感心


『行きたいです』


しゅばっと手を上げて返事をすると、折原くんはまたまたにっこりと笑顔になった。


「じゃあ、昨日のこと許してくれる?」
『んー、考えとく』


携帯を閉じて折原くんの手に戻す。言っておくがな折原くん、食べ物の恨みは恐ろしいんだよ。

ガリッと飴玉をかじって、折原くんにニヤリと笑顔を向ければ折原くんは「手厳しいな」って2個目の飴を私に差し出した。



20121015



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