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「じゃあ、行こうか」


帰りのHRが終了すると同時に、折原くんは笑みを浮かべながら立ち上がった。


『うん?』


行くってどこに?そう私が言葉を発するよりも早く折原くんは私の腕を掴むと、楽しそうに鼻唄を歌いながら教室を出た


『ちょい、折原くん。私面倒なのは嫌だよ』
「大丈夫、大丈夫。菜音ちゃんに手出しなんてさせないからー」


折原くんの言葉が嘘臭く感じるのは、私が疑り深いからか、折原くんが胡散臭すぎるからなのか。

だって、こうして歩いているだけでぶっさぶっさ突き刺さってくるのに。好奇と羨望、嫉妬の視線が。


『折原くん、手離して』
「だーめ。離したら菜音ちゃん逃げるじゃん」
『逃げ出したいよ』
「クレープ奢ってあげるから、一緒に行こうよ」
『………』


ね?とかわいこぶった折原くんの笑顔に深くため息を吐いて、私は大人しく折原くんについていくことにした。

奢ってもらえるからついていく訳じゃないんだからね、とかじゃなくて純粋で奢ってもらえるからついてくんだけどね。


***


「菜音ちゃんはどれが食べたい?」
『んー…DX抹茶クレープかな』
「…菜音ちゃん、遠慮とかしないんだね」


折原くんにつれられてやって来たクレープ屋は、学校が終わってすぐ来たからかそんなに混んでなくて、すぐに注文する順番が回ってきた

私が頼んだのは、一番高い抹茶のクレープ。奢ってもらえるときは自分じゃ手の届かないものを奢ってもらわなければなるまい


『それだけ折原くんを頼りにしてるってことで』
「うわー、菜音ちゃんずるい。そんなこと言われたら俺嬉しくなる」
『そうか、早く買って?』
「はいはい」


折原くんはセンスのよろしい財布を、出すとなんだか格好よさげにお金を払った。店員さんの顔が赤いのはつまりそういうことだ


「菜音ちゃん、はい」
『ん、ありがとう』


抹茶クレープを折原くんから受け取って、早速かぶりつく。

うわっ、なにこれ美味しい!止められない止まらないとはこのことではないのか!?






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