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「暇だなぁ…」
神原さんの寝顔を眺め始めてからもう、何十分たったんだろう。そろそろ暇になってきた
(神原さんのこと、起こしてみようか)
鼻をぎゅっとつまむと、神原さんは「んぐっ」と声をあげてすごく不機嫌そうな表情で目を覚ました
『…、なに』
「おはよー、神原さん」
『誰…?……あ、折原くん、か』
眠そうに目を擦りながら起き上がる神原さんは、なんか小動物みたいに見え…なくもないような。
『…何か用?』
いつもの数倍眠そうな目で俺を見上げるその表情に、笑いそうになったけど、我慢。流石に失礼かなーって思うしね
「神原さんと話してみたいな、と思ってさ。探しに来たら寝てたみたいだから起こしちゃった」
ごめんね。上っ面の苦笑いでそう言うと、神原さんは相変わらずの興味無しオーラで「ふーん」とだけ呟いた
「神原さんってさ、いつも寝てるけどそんなに眠いの」
『いや別に』
「じゃあ、なんで?」
『…暇、だから。じゃないの』
ごろりと再び寝転がる神原さん。まさか寝ないよね、とは思ったけど流石に話してるときに寝たりはしないみたいだった。(当たり前だけど、神原さん今もすごく眠そうなんだもん)
「神原さん、物事になんでそんなに興味ないの?」
『興味無いわけじゃないよ。私の興味がわくようなことが無いだけ』
「へぇ、そうなんだ」
『私からすれば君がなんでそんなに人に興味があるのか方がわからないけどね』
その質問には流石にちょっと驚いた。確かに俺は人が好きで、興味なんて溢れるくらいある。
だけどそんなに表に出してたわけじゃない。観察して弄ぶくらいだから。こうして言われるのは中学のときに新羅に言われたとき以来かな
「神原さん。周りのこと結構見てるんだね」
『折原くんがわかりやすいだけじゃないの』
少し腹が立つ台詞を吐かれた。でも別に怒ったりなんてしないよ、逆になんだか楽しくなってきた。
久しぶりの感覚。これだから俺は人間が好きなんだ
「ねぇ、じゃあさ――」
それから昼休みを告げる鐘が鳴るまで、ぼんやりと空を見上げ続ける神原さんに俺が話しかけ、神原さんがそれに軽く相槌を打つのを続けた。それは結構な時間だった筈なのに、あっという間だった気がした。
一言で言ってしまえば俺はこの子を気に入ったんだ
これからもっと楽しくなりそうだと、高鳴る期待を抑えきれずに、俺は神原さんがいなくなったあとの屋上で一人笑みを浮かべた。
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