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まぁ、私はそれを見つけたところでどうにかすることなど出来ないのだけれど。

心の中で『お疲れ様』とだけ呟いて、私はまた雨の降りしきる道を歩き始めたところで、すぐにそれを見つけた。

金の上を滑り落ちていく水滴。天気が悪いせいで、光は差していないのに、その金は明るくあった


『…うちの学校の人?』


目の前でぐったりと塀に寄りかかる人と、記憶の中の天島くんが着ていた制服を比べてみる。…うん、一緒かな

その人の前に屈み込んで、様子を見てみると、さっきの道路標識とまではいかなかったけれど、彼もまた傷だらけだった

鞄をあさって使えそうなものを探してみれば、タオルと絆創膏を発見


『…これで勘弁ね』


タオルを彼の頭にかけて、あるだけの絆創膏をその手に握らせる

そして、さしていた折り畳み傘をそっとかけた

傘という盾を無くした私の体には雨が冷たく降り注いでくる。…風邪、ひくかも。

一度彼を見てから、私は家を目指して走った

家に辿り着いたときには、当たり前に全身ずぶ濡れになっていた


『…ただいま』

「おかえり。あら、ずぶ濡れじゃない。お風呂沸かしてあるから入っちゃいなさいよ」

『はーい。』


べっとりとはりついてくる制服を無造作に脱ぎ捨てると、あたたかい湯気の漂う浴室に幸せを感じながら足を踏み入れた



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