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「神原さん」
誰かの名前を呼ぶ声に、ぼんやりとする意識の中ゆっくりと目を開く
目の前は一面真っ赤。そんな熱いとこにもグロテスクなところにもいた覚えはないのだけれど…
「おはよう、神原さん」
『…おはよう、?』
上から降ってきた声を辿って顔を上げれば、寝る前に見た、えーっと…、あ。お隣になった人がいた
私が顔を上げたことによりばっちり合う視線。
そしてお隣さんはにこーっと、爽やかな笑顔を浮かべた
「神原さん、よかったら一緒にお昼でもどうかな?」
『あー、ごめんなさい』
誘ってくれたのに申し訳ないけれど、私には先約がある。それを伝えるとお隣さんは、「そっか」と残念そうに微笑んでどっか行った。
さて、お昼食べようっと。
がさがさと朝コンビニで買ってきたものをあさっていると、ガタリと音を立て目の前に誰かが座った
「菜音、」
『あ、ゆーり』
それはお昼の先約の相手の悠莉だった。まぁ、当たり前だけど
悠莉は高校で知り合った友達だ。入学式の時たまたま席が隣で仲良くなった
「菜音。」
『んー?なに』
買ってきたメロンパンをくわえながら、返事をすれば行儀が悪いと、でこぴんをされた。
悠莉のでこぴんは地味に痛い。
「あのさ、あんたの新しい隣の席の奴って折原臨也でしょ」
『へぇ。そうなんだ』
「…知らなかったの」
『うーん?お隣さんになったのは知ってるけどお隣さんがその折原さんって人のことは初めて知った』
もう一度メロンパンにがぶりとかぶりつくと、なぜか悠莉が呆れたようにため息を吐いた
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