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文化祭のあと、風間さんと沖田先輩は変わった。悪い方ではなく、でもいい方にでもなく――…



『千鶴ー!おはよっ』
「あ、おはよう!伊織ちゃん」


後ろから走ってきて、ぎゅっと抱きついてくる伊織ちゃんに頬が緩む

周りの人たちがざわつくけれどそんなの気にしない。

伊織ちゃんは、文化祭での和服ウェイトレス姿がかなり好評だったために、女子生徒だけでなく男子生徒からも人気を集め始めていた。

だけれど、伊織ちゃんはまだ誰にも告白はされていない。何故なら…


「伊織、千鶴ちゃん。おはよー」
『あ、沖田先輩おはようございまーす』
「おはようございます」


沖田先輩が虫除けと言わんばかりに伊織ちゃんに引っ付くようになったから。

沖田先輩はいつも伊織ちゃんに気付かれないように男子生徒を牽制している。

伊織ちゃんに虫が寄らない点ではありがたいけれど、沖田先輩には自分もその男子生徒と同じであることに気付いてほしい

そして、理由はもうひとつある。


「我が妻よ。俺が直々に迎えに来てやった」


風間さんが休み時間ごとに伊織ちゃんに会いに来るようになったから。

婚活生徒会長として有名な風間さんだ。みんな関わろうとはしない。

ぶっちゃけると、風間さんに付きまとわれなくなったことで私の負担はかなり減った。だけど、

(伊織ちゃんにべたべたされる方がストレスになる…!)

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、とにかく風間さんと沖田先輩は伊織ちゃんにべたべたべたべたべたべたする


「伊織。今日の放課後お前の好きな抹茶の菓子でも食べに連れていってやろう」
『まじですか!?』
「駄目よ。伊織は私達と遊びに行くの。」
「…誰も貴様になど言っていない」
「先約よ。諦めなさい風間。」
「…ちっ、また来るぞ。我が妻よ」


お千ちゃんの言葉に舌打ちをしながらも帰っていく風間さんを見て、お千ちゃんと2人、静かにガッツポーズをした




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