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『うわぁ…すごい』


校庭のど真ん中で燃え上がる真っ赤な炎に感激した。こんなの小学生以来だなぁ、なんて思う

千は君菊さんって綺麗なお姉さんとどっか行っちゃったし、千鶴は平助とフォークダンスをしに行ってる。平助ズルいよね

僕も適当に相手探してフォークダンスしようかなぁって思ったけど、慣れないことしたせいでだるかったから見るだけにしていた


「こんなところで何をしている」


不意に耳に届いた声に、視線をずらせば、暗くなってもキランキランなその人が、いた


『あー、見てます』
「1人で、か…。ちょうどいい」
『?』
「来い。ふぉーくだんすをするぞ」


光栄だろう、と不敵に笑う風間先輩。…あー、困った


『僕疲れてるんで大丈夫です。』


立てている膝に顎を乗せて、風間先輩を見上げながら、丁寧にお断りの言葉を述べる。まぁ、俺様何様風間様には無駄な気がするが


「何?貴様俺の誘いを断ると言うのか」


うん、やっぱ無理でした


『いや、今お誘いに乗っても、風間先輩に恥かかせるだけになるんで。』
「ふん、俺が恥をかくとでも言うのか貴様は」


婚活生徒会長ってだいぶ素晴らしい恥ですよね。もちろん口には出しませんけど。


「来い。」
『ご遠慮します』
「…これでもか?」
『…!そ、それは』


風間先輩が取り出したのは、有名な和菓子店の抹茶プリン。…食べたい、めっちゃ食べたい


「俺と来ればお前にこれをやろう」
『…まじですか』
「あぁ、約束してやる」


ゆらゆらと目の前を行き来する抹茶プリン。抹茶プリン。抹茶プリン!あぁ!食べたい!!


『か、風間先輩…!』
「なんだ?」
『抹茶プリン下さい!!』
「ほう、それで?」
『一緒に行かせてください!』
「よかろう」


抹茶プリンの前に恥とかそんなのどうでもいい!抹茶プリンさえ手に入れば、僕はなんでも言うこと聞いちゃう!


「ふぉーくだんすが終わったあとに抹茶プリンをやろう」
『はい!』


満足気に歩いていく風間先輩のあとに続いて、僕もみんながフォークダンスをする校庭の真ん中へと足を進めた



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テーマ「人外ファンタジー」
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