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あと少し。

そんなことをいっている間に文化祭は当日を迎えていた…


「きゃー!千鶴ちゃん可愛い!!すごく似合うわ」
「あ、ありがとうお千ちゃん…。お千ちゃんもすっごく似合ってるよ!」
「ありがとうっ!」


私たちの茶店の衣装はもちろん着物。だけどけっこうアレンジが加わっていいる。

短めになった裾には控えめにフリルがあしらわれているし、動きやすいように下駄とか草履とかじゃなく、和風にアレンジした靴になっている。靴もいろいろあってブーツっぽくなってるのもある


「千鶴ちゃんのお花は桃色だったわね」
「お千ちゃんは橙だね!」


お互いのお花の飾りを見せ合って予想が当たってるかの確認。あとは伊織ちゃんを待つだけ


「伊織、遅いわね…」
「そうだね…、どうかしたのかな…?」


あまりにも遅い伊織ちゃんが心配になって、伊織ちゃんのところに行くと…


『うわぁ…無いわぁ…』


一人嘆いている伊織ちゃんがいた。


「…どうしたの伊織」


お千ちゃんがどんよりオーラを背負う伊織ちゃんに声をかけると、伊織ちゃんはびくりと震えたあと、小さく返事をした


『…自分が可哀想すぎて…。今からでも遅くないからやっぱり僕は男子の衣装を着るべきだよ…』
「もう遅いわ。諦めて来なさいよ」
『…こんな気持ち悪い姿の僕見たらみんなドン引いちゃうよー!』
「いいかな来い!」


お千ちゃんは伊織ちゃんの肩を掴んで、伊織ちゃんを無理矢理振り向かせた。そして私とお千ちゃんは言葉を失った


「「…」」
『…やっぱり、引くよねー。あははは…』


もうだめ、項垂れ始めた伊織ちゃんに近寄ると、私は伊織ちゃんの肩をがしっと掴んだ


『え、ちょっ、千鶴サン…?』
「お千ちゃんカメラ!お千ちゃんカメラ持ってきて!!」
「うん!」
『えっ、ちょっ、なになになになになに!?晒し?僕晒されるの!?』


パニックになりはじめる伊織ちゃんの姿をじっと見つめてみる。

いつも男の子の格好をしてるときは跳ねている黒髪は下ろされていて、すごく女の子らしく見える。髪に飾られて艶やかな紫の花もよく似合っていて…

なんていうか、もう…、とにかく可愛い!可愛すぎる!

いつもズボンで隠れてる脚は白くて細長くてすっっっごく綺麗だし、パニックのあまり大人しくなってきちゃってるのもまた可愛い!


「伊織ちゃん可愛い!お嫁さんに欲しい!」
『えええええ!?僕が千鶴をお嫁に欲しいよ?』


むぎゅっと抱きつくと、いつもと立場が逆なのに戸惑っているのかおずおずと抱き締め返してくる。…萌え

そのあとお千ちゃんが持ってきてくれたカメラで、伊織ちゃんの写真をバッシャッバッシャッ撮っていたら、委員長が「遅い」と呼びに来たので、伊織ちゃん撮影会はそこで終了となってしまった。

…すごく、残念です




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