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「ねぇ、茶店とかどうかしら」
『やりたい!』
お千ちゃんが何気無く言った言ったそのアイディアに伊織が目をきらきらさせながら食いついたら、あれよあれよと言う間に私たちの文化祭の出し物は【茶店】になった。
そして善は急げっということで、早速文化祭に向けての準備が始まった
「採寸するから女子集合ー!」
「『はーい』」
皆が衣装の採寸のために並ぶ列に私たちも入る。伊織ちゃんは男子の列の方を見ながら『僕もあっちがいいなー』とぼやく。それを聞き逃さないのがお千ちゃん。
「あんたは女でしょ」
『でもー、服は男のがいいー』
「だめよ」
『うわぁぁぁあ』
お千ちゃんに首根っこを掴まれて腕をばたばたさせる伊織ちゃんはちょっと猫みたいで可愛い
「はい、伊織の採寸よろしくね」
「「はいっ!」」
『いやぁぁぁあ』
採寸係の子に引き渡されて悲痛な叫びを上げる伊織ちゃん。採寸係の子は伊織ちゃんの採寸が出来るのが嬉しいらしく目がキラキラしている
教室の隅に作られた採寸する場所からは伊織ちゃんの啜り泣く声と女の子たちのきゃーきゃーする声が聞こえてくる
「わー、如月君。しっろーい!」
「わっ細っ!」
『うわぁぁぁあ』
数十分後出てきた伊織ちゃんはぐったりしていた。
「だ、大丈夫?伊織ちゃん」
思わず駆け寄ってそう聞けば、伊織ちゃんは目をうるっと潤わせて…
『千鶴ううううう!』
「うわっ!?」
思いっきり抱きついてきた。どどどどどうしよう…!かかかかわいいいい!!ぎゅうっと抱き締め返すと『千鶴好きー』と伊織ちゃんが小さく呟く。
「わ、私も好きだよ!」
『!千鶴愛してる!!!!!!』
そんな私たちをお千ちゃんは呆れ顔で他の子達は微笑ましそうに見ていたなんて、私たちは気付かなかった。