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「リオが馬鹿だから遅くなっちゃったじゃない!」
『責任転嫁、実に良くない』
「うるさいわよ!元はと言えばリオが…!」
『お腹減ったねー』
「ちょっと!話聞きなさいよ」
屋上に来たのは今度こそ待ちわびたお千ちゃんとリオ君だった
「お千ちゃん!リオ君!」
『あ、千鶴ごめんね』
「千鶴ちゃん、本当にごめんね。リオが―『はいはいはいはい』ちょっと!」
『お腹減った本当減った。重要だから2回言ったよ』
「知らないわよそんなの!」
止まらない2人のじゃれあい。止まりそうにないので止めようとしたとき、なぜかずるっと足が滑って…、リオ君へと倒れ込んでしまった。
ふわりと香る甘い匂いと柔らかな感触…
『…大丈夫?』
目を開けると目の前にリオ君のアップ。腰にはリオ君の手が回っていて…、みるみるうちに顔が赤くなっていくのがわかった
「だ、だだだだだだ大丈夫!ご、ごめんね!」
『?そう、よかった』
するりと離れていくリオ君の体。…どうしよう、心臓がすごくどきどきしてる…!
真っ赤になった顔を冷やそうとしていた私の耳に、地を這うような低く冷たい声が届いた
「…リオくーん?」
『あら、ナニコレ修羅場ってやつですかね?』
絶対零度な微笑みを浮かべた沖田先輩と顔。そして静かに怒る風間さんと顔を真っ赤にする斎藤先輩と、声を荒らげる平助君…。そして笑ってるリオ君…。…どういう状況
「リオ、お前役得過ぎるだろ!」
「貴様、よくも我が妻に…」
「は、破廉恥な…」
「千鶴ちゃんに名前で呼ばれて調子に乗らないでよね」
「俺の可愛い妹に手を出してただで済むと思わないでね」
「…なんか面倒なことになってきたな」
「そのようですね…」
『千鶴ちゃん、その卵焼きちょーだい?』
「あ、うん!いいよ」
「「「おいいいい!」」」
「リオ、あんた緊張感無さすぎよ」
『よく言われるー』
よくわからないことを叫ぶ先輩と、もぐもぐと口を動かすリオ君。
平助君は先輩たちよりも一歩前に出てくると、今度は唐揚げを食べているリオに向かって言った
「千鶴を賭けて勝負だ!」
『うん、いーよー』
リオ君は唐揚げを飲み込んで微笑んだ