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(うーん…)
休み時間が終わって教室に戻って僕はため息を吐いた。
ぐてーっと机に倒れ込めば、前に座ってる一君が話しかけてきた
「どうした総司。また伊織のところに行っていたのではないのか」
「行ってきたよ。でも、」
「でも、どうした」
「全然掴めてる感じしないんだよね」
「総司にしては珍しいな」
本当に僕もそう思うよ。小さくそう返して机の上にのせた両腕に顔を埋める
今まではどんな女の子だってちょっと笑顔を向ければ、鬱陶しくべたべた引っ付いてきたのに、伊織ちゃんは、ははーって笑うだけ
どれだけ構いに行っても、反応は変わらないし、なんなくなんだけれど、勘違いをされているような気もする
「いっそ告っちゃった方がいいかな…」
「伊織はまだどこにもやらん」
「まだそんなこと言ってるの一君は」
母親面の一君にまたため息を吐いて、僕は目を閉じた。
♀♂
「…」
「風間?」
生徒会室に戻ってきた風間はなぜか大変不機嫌そうでした。
先程まで伊織のところに行っていたので、大方そこで何かがあったのでしょう。
「…一体どういうことだ」
「何があったんです」
「……あれほど茶に誘っているのに…」
「……」
「彼奴のことだ。照れているのはわかっている」
…風間の言いたいことが大方想像できてしまうのは、やはり付き合いが長いからなのでしょうか
「しかし周りに我が妻に近づく身の程知らずがいるのは気に食わん」
「では、どうするつもりですか」
「…生徒副会長にでもして、傍においておくか」
決まりだ。風間はにやりと口元を歪めると瞬く間に上機嫌になりました
…伊織の身が心配です。