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「なるほどな」
『?』
「伊織。そんなに俺に構われたかったのか」
『はっ?』
いきなり名前で呼ばれてぞわっと来た。そんでもっていきなり「構われたかったのか」ってちょっと僕には意味わかんないです。
「お前の今までの俺を苛立たせる行動の意味もこれならば理解できる。」
僕には貴方の考えてることが理解出来ないんですけど。ねぇいいかな?この人放っておいていいかな?
「俺が千鶴にばかり構うから、構って欲しいと俺を挑発したのか…。」
『え゛?』
「安心するがいい。気付いた以上は可愛がってやる」
『いや安心出来ないんですけどちょっとナチュラルに腰に手回さないでもらえますかね』
なんだかものすごい勘違いをしていらっしゃるのですがこの方。構って欲しいとか1mmたりとも思ったこと無いんですけど、それになんか近いんですけど
「ついてこい。特別に生徒会室に招待してやる」
『いや、仕事あるんで遠慮します』
「遠慮?…ほう、なるほどなかなか慎ましやかなところもある。…ますます俺の嫁に相応しい」
なんかもうなんなのこの人思考回路どうなっちゃってんの!?千鶴どんだけ苦労してらっしゃるのよ!?
『!』
さわさわ、と風間先輩の手がなんか厭らしい感じに動く。ここそういう店じゃないんですが。本当、誰か助けてください。
見渡せるだけの範囲で目を動かせば、千の姿が目に映った。すがるような視線を向ければ、千は静かに頷いてくれた。千、ありがとうっ!
千はすぐに僕たちの方に近付いてくると、風間先輩を睨み上げた
「伊織を離しなさい風間。」
「…貴様には関係無いことだ」
ばちばちと火花を散らし始める2人。…状況悪化してないですかねこれ
風間先輩が僕に絡んできたのが入り口だったし、そこに怒った様子の千を僕が呼んじゃったし…。
端から見れば修羅場的状況。人目を引かないわけがない。てかものっすごい引いてる
いつになったら僕は解放されるんでしょうか…。半泣きになりながらそう思っていたら、やっとその瞬間がやって来た
「風間。やっと見つけましたよ。仕事がまだ残っています。さぁ戻りましょう」
救世主、天霧先輩が降臨したのだ!
「天霧、俺は今忙しい。見てわからないのか」
「後夜祭のふぉーくだんすをするための仕事です」
「…ちっ」
風間先輩は天霧先輩の言葉に小さく舌打ちをすると、僕を解放した。
「…それではな、我が妻よ」
『ありがとうございましたー』
風間先輩が帰ったことにより僕はやっと仕事に戻ることが出来ました。
だがしかし、このあとも悪夢は続いた