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『総司先輩』
「なぁに?」
『なんで遅くまで学校に?』
「土方さんからかいすぎて居残りで課題出されちゃって」
『なるほど…、でも真面目にはやってないんでしょう?』
「やったよ。ぜーんぶ心を込めて落書きしてきたから」
『あはは、総司先輩らしー!』
隣で笑う伊織ちゃんはやっぱり僕より小さくて、女の子なんだなぁってふと思う
ちっちゃくて捕まえようとすればするりと逃げちゃう伊織ちゃん。今はこんなに近くにいる
(今なら捕まえられるかも)
伊織ちゃんとのこの近い距離にそんなふうにほんの少しの悪戯心が生まれた
「伊織ちゃん、伊織ちゃん」
『ん、なんです?』
「濡れちゃうからこっちおいで」
伊織ちゃんの肩に手を回して、自分の方に引き寄せる。簡単に引き寄せられる体はやっぱり小さい
かわいいなぁ、なんて思いながら伊織ちゃんを見てみれば、なぜか顔を俯かせていた。
髪の隙間から覗く耳がほんのり赤く染まっているのが見えて、どくどくと期待が胸を高鳴らせる
「伊織ちゃん…?」
『…、はい?』
「顔、赤いけどどうしたの?」
『!ちょっ、見ないで下さい!!』
ばっと鞄で顔を隠す伊織ちゃん。そんな姿が可愛くて、さっきよりも更に距離をつめれば慌てながら僕から離れようとする
まぁ、そんなことさせないけど。
『…あーもう、総司先輩のあほー』
「失礼だなぁ」
『そんな女の子に対する扱いなんてしないでくださいよ…』
「伊織ちゃん女の子じゃない」
『一応をつけてください!』
「なんで?」
『〜っ』