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(伊織ちゃんまだかな、伊織ちゃんまだかな、大丈夫かな、沖田先輩に何かされてないかな…)
ぐるぐるぐるぐる。千鶴は教室の中をうろうろしながらそればかりを考えていた。伊織が連れていかれてもう30分が経過していた。
昼休みが終わるまであと15分である。
「おい千鶴ー、そんなにぐるぐるぐるぐるしてると気分悪くなるぞー」
「そうよー、伊織は何かあっても大丈夫だから千鶴ちゃん落ち着いて待ちましょう?」
平助や千がそう言って止めようとしている言葉も耳に入らないのか、ひたすら千鶴は足を動かし続ける
(あぁぁ私もついていけばよかったかな、心配、すごく心配だよ…!)
そうして伊織を心配し続ける千鶴の耳に、誰かの怒号が響いた。いや千鶴だけではない。きっと学園にいる全員の耳に、だ
「待ちやがれ!伊織、総司!」
「いやですよー。それに僕達が土方さんに言うこと聞くと思います?」
『ねぇ、土方先生どうなんです?』
「うるせぇ!待てコラァァァァア!!」
「『わー、こわーい』」
けたけた楽しそうに笑う2人のあとを追いかける、鬼の形相をした土方先生。これはのちに薄桜学園の日常になっていくこととなる
「うわー、土方さんめっちゃ怒ってる」
「沖田先輩が伊織を呼んだのはこういうことだったのね…」
「伊織ちゃんと2人で土方先生に悪戯したかったんだ…」
走っていく3人の姿を眺めながら、千鶴はほっと息を吐いた。
沖田のちょっとの好奇心で手を組んだ伊織と沖田。この2人は良くない意味での名物コンビとなった。
「待ちやがれ!!!!!!総司!伊織!!!!!!」
「『嫌でーす』」