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「―ったく、本当に手間がかかる奴だ…」
そう言って頭を抱えた土方さんに、あぁまた総司のことかと考えた。
「なんだ、また総司か?」
「いや、違ぇ。如月だ」
如月、聞き慣れない名字に頭を傾げる。…あぁ、思い出した、最近来たばっかの転校生のことか
「如月ってあの転校生か?」
そう聞けば土方さんは「あぁ、」と頷いた。なるほどな
「…あいつ転校そうそうやってくれた」
「何やったんだ?」
土方さんがここまで頭抱えんのは総司のことぐらいだ。一体来たばっかの子が何をしたのか気になる
「…総司たちと鬼事つって校舎のあちこちで暴れまわったんだよ」
「へぇ、そりゃすげーな」
あの体力馬鹿たちから逃げるなんて相当身のこなしが軽い奴なんだろうか。話を聞きながらその姿を想像してみる。俺はタイミングが悪いみたいでまだ会ったことねぇからな。
「総司たちが校舎ぶっ壊しながら如月を追いかけ回しやがったんだ。…こんなの近藤さんにどう報告しろってんだよ」
「…またやらかしたもんだな」
「いくら女子の制服着てこいつっても男子の着てくるし、本当にどうしようもねぇ…」
「まぁ、面白そうな子じゃねぇかよ」
土方さんの話を聞く限りではだいぶ大物らしいことはわかった。笑いながら返事をすれば土方さんは眉間に皺を寄せた
「実際会ったらお前だってんなこと言ってられなくなるぞ」
脅しのようにも聞こえるそれに俺は苦笑いしながら答えた。
「はは、楽しみだ」
今度、会いに行ってみるかな。
♀♂
最近風間の機嫌がものすっっっっっげぇ悪い。理由は簡単だ。あの転校生との一件。
生徒会室の窓からたまに雪村とあの転校生が一緒にいるところなんか見ちまったら大変だ。
たちまち不機嫌になって鬼みてぇな形相で俺や天霧に八つ当たりしてくる。本当困った会長様だよなァ
って、ことで俺は生徒会室から避難して校舎内をぶらついていた。
そこで偶然と言うのか俺はあの転校生とばったり会った
「『あっ』」
しばらくそのままお互いを凝視したあと、同時に吹き出した
『…ぷっ、あはははは!僕らなんで見つめ合ってるんですか!』
「さぁなァ、俺もそれを聞きてぇよ!」
2人でひーひー言いながら笑うのを止めて、また見合ってまた笑う
『不知火先輩なんか面白い!僕、先輩なんか好きだわ!』
「俺もなんかお前のこと気に入った」
げらげら笑いながら俺達は何が何だかわからないままに仲良くなった
『なんだか不知火先輩って兄貴って感じする』
「そうかァ?なんだかいいなその響き」
『兄貴!』
「なんだ伊織?」
『呼んでみただけ』
「なんだそりゃ」