あの日から数日。
私の中にはどうしようもなく溢れそうになる思いがあった。


『――プリンシェイク、飲みたい……!』


あのイケメンさんにプリンシェイクを渡したその次の日から何故か私はプリンシェイクを手にすることが出来なくなっていた街中の自販機と自販機全てを見てきたのに全てが売り切れだったのである。プリンシェイク人気恐るべし…!


「なーに、あのプリンシェイクそんなに好きなのあんた?」


隣の席の自称年下キラー、てかショタコンのショタコ(渾名ね)が私の一人言に反応して話しかけてきた


『いや別に。売ってないとなんか飲みたくなるじゃん。』


つまりは、だ。簡単に手に入っていたものがいきなり手に入らなくなるこの感じ。自分になついていると思ってた子猫の目的が実は「この!泥棒猫!猫だけに」みたいなプレイニャンコで最終的にご飯目当てだったときの悲しい感じなのである。

あぁ、恋しいよ。
缶の中のぷるぷるプリンが私の手によりあられもない飲みやすいプリンへと変わっていくあの感覚が。「あーれー」とプリンの声が聞こえてくる幻聴が!

やっぱ天罰なのかな、『流行ってるんです(私の中で)』って言うオススメの仕方しちゃっからかな


「ちょっとほとり。だいぶ自分の世界行ってるけどもうお昼行っていいって」

『よし行こうか』


―in コンビニ


自動ドアが私のために開いてくれました。たむろしてる不良とかいなかったし「ノーブラですか」とも聞かれなかったよ。だってショタコも一緒だからね

入ってすぐに向かうのはデザートコーナー。主食よりデザートのが大事だよね。プリンシェイクが飲めなくてプリン不足だからプリン買わなくちゃ

デザートコーナーに行って最初に目についたのは『限定特上プリン』。即決。女の子は限定に弱いのです


『あ』「あ?」


プリンに伸ばした手は、プリンに届く前に誰かの手とこんにちはした。顔を上げて相手を見ればあら。


「…あんたこの前の」

『自販機のイケメンさん…?』


お互いにきょとんとした間抜け面。さすがにこんなところで会うなんて…予想外です


「こ、この前は、その…ありがとう」

『いえいえ、こちらこそ』


プリンへの手は伸ばしたまま言葉を交わす。うん、だって特上プリン食べたいもの。


「…その、あんたもこのプリン買おうと思ってんの?」


ちょっぴり困ったように聞いてくる自販機さん。…どうしてこうもイケメンの破壊力と言うものはすごいのでしょうか。なんか諦めないと後悔する気が押し寄せてくるんですが。

ちらりとプリンの方を見てみる。そうだよね、やっぱそうだよね。どうせなら素敵な顔面の方に食された方がきみも幸せだよね…


『いや、違いますよ!私はその…隣の買いたいんですよー』


あはは、顔で笑って心で泣きます。プリンを譲るために適当に嘘をついて隣の商品へと手を伸ばす。…あんみつ、か。食えねぇ。いいや豆はじいて食べよう


「そうだったのか、なんか悪ィ」

『いえいえー、隣で並んでるんですからありますってそんなこと』


あんみつ手に取りまたはははっ、と笑ってデザートコーナーから離れる。これ以上プリンを見ていたら我慢できなくなる…!涎が出てしまう…


『じゃあ、プリン美味しくいただいちゃって下さいねー』

「おう」


ささっとおにぎりコーナーに避難して商品を見つめる。早いとこプリンのことを忘れなければ…あ、明太子安い。これにしよ

あんみつと明太子、梅のおにぎりついでにおでん。私の昼飯GETだぜ☆






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