子供のようにはしゃぐ君
「着いたよ、菜音。起きて」
目的地の温泉に着き、いまだ眠っている菜音の肩を揺する。
なかなか起きないのが菜音。でも、俺はこれで大変得をしている。
なんでかって?
「…ん、やぁ…もう少し……」
こんな台詞が菜音の口から聞けちゃうだよ!もう録音はとっくにしてあるんだけどさ
「菜音、起きて」
何回も何回も呼び掛けても目を覚まさない菜音。
これはもう、あの手段しか無いよね?
名付けて『お姫様はキスで目覚めるんだよ』作戦!
菜音の頬を手で包み込んで顔を近づける、そしてそっと目を閉じれば―
「…何やってんの?馬鹿か」
菜音からの厳しい一言と共に思い切り耳を引っ張られた。
「痛っ」
俺のことなど、眼中に無いように菜音はきょろきょろと周りを見渡す。
そして目的地に着いたことに気付いた菜音は一気に表情を明るくすると、俺を踏みつけ嬉しそうにバスから飛び出した
―子供のようにはしゃぐ君
(可愛いけど、俺のことも気にしてよ!)
20121027
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