声、聞きたいと思って
《こんばんは。不二です》
『不二?珍しいね。どうしたの?』
《ちょっとね。神原の声、聞きたいと思って》
『!うわぉ…。不二大丈夫?』
《クスッ。それはどういう意味かな?》
『そんな口説き文句吐くなんて、辛味が頭に回ったの?』
《随分失礼なことを言うんだね。》
『あー、ごめん。怒らないで』
《………別に怒ってなんかないよ?》
『その間が怖い』
《ふふふ》
『で、本当にどうしたの?』
《だから声が聞きたいと思っただけだよ》
『明日、学校でも聞けるのに?』
《…本当に鈍いんだから》
『?』
《好きな子の声、聞きたくなるのに理由も何もいらないだろう?》
『…えっ』
《クスッ。無事に声も聞けたし、それじゃあね。おやすみ》
『…あ、うん、おやすみ不二……』
いったいこれはどういうことなんだろう。
通話が切れたことを知らせる無機質な音が響くなか、私はぼんやりとその場に突っ立っていた
…明日、学校行くの怖いかも
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