友達
「初めて会ったときの菜音ってさ、なんかおとなしそーなお嬢さんみたいな感じだったよな」
『今もそーでしょ?』
「おとなしいとは対極だろー」
『ひど!三和は、爽やか好青年、みたいな感じだったね』
「今もだろ?」
『…はっ』
「鼻で笑うなよ!ひでーな」
『ひどくないですー』
こちらの世界に来たばかりで迷っていた私がとっさに助けを求めた相手は、三和だった
あのとき三和は、嫌がることもなく笑顔で「んじゃ、一緒に行くか!」って学校まで連れていってくれた。どれだけ感謝したことか
クラスが一緒だとわかったときの驚きと安心は今でも覚えてる
知り合いの誰一人としていなかったこの場所で、一回でも話したことのある人がいたのだから
そのあとなんだかんだで、三和と仲良くなって今に至る
「菜音」
『なにー?』
「今日、家でゲームしてくか?」
『するする!』
私と三和は友達。
だけどそれは私の中で少しずつ変わり始めていた
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