一回しか言わないからな
ナノンが淹れてきてくれた紅茶を飲みながら、考えを巡らせてみる
自分はナノンをどう思っているのか、と
(オレはナノンのことが好きなのか…?)
幸せそうに紅茶を飲むナノンの姿に頬が緩むのがわかる
それを見てただ守りたい、と思う
「なぁ、ナノン」
『ん、なに?』
「その、好きってどんな感じなんだ…?」
『!?げほっ』
驚いたのか咳き込み始めるナノン。
その背中を慌てて撫でてやるとだんだんと落ち着いてきたらしいのか、ゆっくりと口を開いた
『あの…、好きっていうのはですね』
「あぁ」
『こう、…相手を見てると胸がドキドキしてきて、一緒にいると幸せで、でもなんか恥ずかしくて、自分以外と話してるとちょっと嫌で、んと、なんか上手く説明できなくてごめん…』
顔を真っ赤にしながら懸命に説明してくれようとするその姿に笑みがこぼれる。
なんだ、そうか、そうだったのか
「…大丈夫だ、ありがとう」
ふわり、頭を撫でればナノンは嬉しそうにふにゃりと笑った
「…菜音」
その笑顔でぽわりとあたたかくなる胸
『なに…』
「一回しか言わないから、ちゃんと聞いてくれるか」
『…うん』
そっとナノンの両肩に手を置いて、その瞳を覗き込む
ヤバい、なんだか緊張してきた……!
「あの、な」
『うん?』
顔が熱くなってくる、見なくてもわかる、真っ赤だ
「好きだ……!」
言ってしまった、もう後戻りできない
でも案外未来は暗くないのかもしれない
目の前で顔を真っ赤にしながら微笑む彼女がいるのだから
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