お、お前、近すぎだ!
(ブレイクのやつ…!)
ブレイクに言われた言葉をなんだか妙に意識してしまったせいで、ナノンに笑いかけられた瞬間、思いっきり顔を反らしてしまった。
あれは絶対におかしかったよな…。
そう思ったらなんだか居心地が悪くなってきて、とりあえず煙草を吸って気を落ち着けよう思ってとオレは一人外に出て来ていた
(大体、オレがナノンを好きって…)
ブレイクに言われるほど、俺はナノンを見ているつもりはない。
だけど見てないわけでもない。
…そう、そうだナノンは妹だ、危なっかしくて目が離せないだけだ、そうだ、そうなんだ
(ナノンは妹、ナノンは妹、ナノンは妹…!)
そう何度も言い聞かせると、なんだか納得できてきた。そうだ!妹だ!
持っていた煙草をぐしゃりと床に押し付けて火を消す。よし、戻るか
『ギル!』
「ナノン…?」
部屋に戻ろうと踵を返したとき、ちょうどナノンがやって来た。大丈夫だオレは今平常心だ
「どうしたんだナノン?」
『ギル、部屋出ていくとき顔赤かったから熱出てたら大変だと思って…』
「…ありがとう。大丈夫だ」
『そっか、よかったよ』
安心したのかふにゃっと柔らかな笑顔を浮かべたナノンに、治まった筈の熱がまた顔に集まり始めるのを感じる
(落ち着け!ナノンは妹、妹だ!)
『あれ?ギルやっぱり顔赤くない?』
「い、いや違う!」
急いで顔を反らそうとしたのだか、少し遅かったらしかった
オレの両頬にはナノンの手が添えられていて、オレは顔を反らすことが出来なかった
『やっぱり熱い…。ギルちょっとごめんね』
「!!?」
こつん、そう音がしたときにはナノンの顔が目の前にあった
『やっぱり、熱あるんじゃ…』
額と額を合わせたまま、喋り出したナノンにはっとしたあと急いで、ナノンを離した
『?ギル、どうし…?』
不思議そうな顔でオレを見るナノンに、オレは真っ赤な顔で叫んでいた
お、お前、近すぎだ!
(そんな距離じゃ、平常心を保てない!)
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