かつ、かつと靴の音を鳴らして廊下を歩く

早く、早くスズに会いたい。抱き締めたい


「スズっ!」


スズの部屋のドアを開けて、中に入る。許可なんてとる必要などありません。

僕とスズの仲なのですから

部屋の中に入って、スズの姿を探す。

いつも寝転がってるソファー、僕があげたベッド、僕と一緒にお茶をするテーブルの下、クローゼットの中。

部屋の中をいくら探してもスズの姿が見当たらない。


「スズ、スズ!どこですか!」


前にもあった、こんなこと。そのときはスズがベッドと壁の隙間に落ちて寝ていただけだった

でも、今回はそこにもいなかった

部屋に、スズがいなかった

部屋から出てスズを探す、不安になる。スズが傍にいないと不安になる。

僕のことが嫌いになってしまったのか、とか。もう僕の傍にいてくれないのか、とか。

―櫂のところに行ってしまったのではないか、とか


「レン様、どうかなさったのですか?」


様子のおかしい僕を心配したのか、アーちゃんが声をかけてきた。

そうだ、もしかしたら…!アーちゃんならなにか知ってるかもしれない


「スズを知りませんか?」


アーちゃんは僕の言葉に納得したような表情を浮かべた。そして言った


「スズなら、散歩に行くと言って、先程外に…」

「外に?」


不安が、当たってしまった。
最近スズはよく「会いたい」と呟いていた。…あれはやはり櫂の事だったのですか


「僕も外に出てきます」

「レン様!?」


アーちゃんの声を背中に受けながら、僕は外へと向かった

スズが櫂に会う前に、見つけ出さなければ―!



―自由姫と独占王子

(スズは僕だけのモノで)

20120128







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