「うわぁ!久しぶりだね、かげろうの皆!!」
「お前が見るのはいつぶりだろうな」
「結構昔!」
「そうだな」
今は櫂のデッキを見せてもらっている。あの頃のファイトで見てきたカードがそこにある
最近はずっと、シャドウパラディンだけを見てたからなんか新鮮
「櫂のファイト、久しぶりに見たいなぁ…」
「…いいぞ」
「本当に!?」
「あぁ」
一人言で呟いただけだったのに、櫂はすぐに了承してくれた
そして櫂は、ここに来るとき一緒にいた金髪の男の子を呼び寄せ、ファイトを始めた
***
「おぉ!」
結果は櫂の完全勝利。
櫂は私の知ってる櫂よりもずっと強くなっていた
「どうだった、スズ?」
「うん、すごいかっこよかった!」
「そうか」
櫂と向き合って笑い合う。
楽しくて、嬉しくて仕方ない。相手は違えど楽しそうな櫂を見るのはやっぱり好きだ
「もう一回見るか?」
「うん!」
そうして櫂が再びファイトを始めようとしたとき、いきなり店内がざわついた
私の時もざわついたけど、比べられないくらいに、皆が動揺しているのが手に取るようにわかった。
人が道を開けるように、左右にわかれていく、そしてそこから現れたのは―
「スズ。やはり櫂のところに来ていたのですね」
レン、だった…
―王子は黒い馬に乗り
(私を迎えにやって来た)
20120128