「…なるほど、な」
一通りのことを話終えると、高尾はそう言って私の頭をまた撫でた。
高尾が貸してくれたハンカチはお恥ずかしいことに、私の涙でぐっちゃぐちゃだ。
「んー、高校時代真ちゃんの相棒をやって来たオレとしては、真ちゃんは浮気できるような奴じゃない。」
『高校時代の真太郎くんの彼女をやって来た私でも、真太郎くんは浮気できるような人じゃない、と思う』
そう。
真太郎くんは浮気なんかする人じゃない。
高校のとき真太郎くんは私のことを不器用にわかりにくくだけどすごく大切にしてくれていたことを私は知ってる。
だから、会えない間もずっと信じて待ってられた。
だから、つまり真太郎くんが女の人と一緒にいたってことはそういうこと。
真太郎くんにとって私はもう"彼女"と言う存在ではない。
『……っ、』
それが今の現実。
わかってるけどやっぱり認めたくない。
高尾のハンカチをあんなにしてしまったのに、私の涙は止まることを知らないらしく、また溢れてきた
「菜乃」
『…なに、?』
「菜乃、まだ真ちゃんのこと好きっしょ?」
『…好きだよ』
「よし、わかった!」
高尾は私の頭を軽く叩いたかと思うと、いきなり立ち上がって笑った
「真ちゃんと菜乃の恋のキューピッド、オレに任せてくんね?」
20121031
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