『きーせっ』
放課後、みんながいなくなったのを見計らって机に突っ伏している黄瀬の頭を丸めた教科書で軽く叩いた。
「…うー、なんスか…?」
どうやらガチで寝ていたらしく黄瀬はだるそうにゆっくりと顔を上げる。全く、こんな姿の黄瀬見たらファンが泣くぞ。
『今日、部活休みでしょ?いなかった分の勉強見てあげるから家来なさいな』
しっかりしごいてあげるから。そう笑顔つきで言えば黄瀬は嫌そうな顔をしたあと腕に顔を埋めた。
「えー、いいっスよ。なんとかなるし」
『笠松先輩から頼まれたの。だから強制。大人しくおいで』
再び寝ようとする黄瀬の腕を引っ張りながら、笠松先輩の名前を出す。まぁ、頼まれたの本当だし、笠松先輩の名前出せば黄瀬も動くと思ったから
「…なんだ、センパイから頼まれたんスか」
『うん。そーだよ』
「わかったっスよ。行く、行きますー」
予想通り。
黄瀬はひどく不機嫌そうになったけれども、ゆっくりと体を起こして鞄を手に取った。よし、いい子だ。
そして黄瀬と2人並んで帰路についた。2人で帰るのはだいぶ久しぶりだなって少し懐かしく思った。
20121007
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