後悔。
今のオレは確かに後悔してるのに、でもどこかでこの状態を喜んでいるオレがいる。

オレの下。状況を全く理解していない菜乃が怪訝そうにオレを見上げてる。

それだけ、それだけなのに少し満たされたように感じるのは、この汚く幼稚な支配欲があるからなのか


『どうしたの黄瀬?具合でも悪くなった?』


何も言わないオレが逆に心配になったのか菜乃の手がオレへと伸びて、すっ、と額に当てられる。確かにこれは一種の病気なのかもしれないと自分で自分を嘲笑う。本当に、らしくない。


「白月っち」


額の手を掴んで頬に添えさせる。菜乃を見つめれば、その瞳にどうしようもなく情けない顔をした自分が映っていた。


『なに?』
「名前、呼んで欲しいっス」
『…?涼太』


反響する、菜乃の紡いだオレの名が。

どうしてかひどく懐かしく感じるその響きに泣きたくなって、自分が押し倒した菜乃の体を抱き起こして、ただ黙って抱き締めた。






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