一目惚れ、始めました。
※幸村さんキャラ崩壊注意
―――――――――
―あぁ、どうすればいいんだろう
馬鹿みたいに熱くなる頬、煩く暴れまわる心臓。今まで体験したことがなかったそれは俺を戸惑わせる
目を瞑れば頭に浮かぶのはあの人のこと
まさか、まさか、まさか…
(この俺が一目惚れ、するなんて…)
手短にあったクッションを引き寄せて思いっきり抱き締める
どうすればいい?どうすればいい?一目惚れなんて、されたことはあってもしたことなんてなかったのに
ただ少し言葉を交わしただけなのに、どうしてこんなに近付きたいと思うんだろう
一目惚れ、厄介だなぁ
そんなこと思いながらも結局頭のほとんどは、どうやってあの人と親密になれるか、ってことで埋め尽くされていた
***
『あ、幸村くん。おはよう』
「おはようございます。神原さん」
朝から会えるなんて俺なんてラッキーなんだろう。どっかのオレンジ頭じゃないけどね
ってか俺の挨拶大丈夫だったかな、どもったりしてなかったよね噛んでもないよね?
うわー、なんか緊張すごいんだけど。
大丈夫、冷静になるんだ精市。俺なら出来る!
「あの、神原さん」
『ん?なに?』
「神原さんって、立海の高校ですよね」
『そうだよ』
「じゃ、じゃあ、その…途中まで一緒に行きませんか?」
よし、よくやった俺!
よく誘えた!!
神原さんからの返事を待つ時間がやけに長い気がするし、心臓も今までの何倍以上も激しく暴れまわっている
『んー。ごめんね、幸村くん。お誘いは嬉しいんだけど友達と行く約束してるんだ』
「そうなんですか…。残念ですけど、じゃあまた今度」
『うん。本当にごめんね。じゃあまた!』
手を振りながら駆けていく神原さんに笑顔をつくりながら手を振り返す。
うわぁぁぁぁぁあ!断られたぁぁぁぁぁぁあ!!俺の勇気がぁぁぁぁぁあ!!
選択肢は「YES or はい」の筈なのにぃぃぃぃい!!
選択肢、俺はおまえを絶対に許さない…!
…とりあえず、蓮二にでも泣きつこう。
選択肢への恨みを抱えながら俺は学校への道を一人歩いた。
一目惚れ、始めました。
(まずは登校を一緒に出来る関係を築こうかな…)
―――――――
魔王の誘いを拒否る選択肢はありません。
てか拒否ったら死亡フラグ。
20120804