彼女に甘えられて嬉しい赤司






『赤司くん、』


くいっと服の裾を引かれる感覚と、愛しくてたまらない菜音が俺を呼ぶ声に振り返れば、菜音が何かを言いたそうに俯いていた。遠慮がちに少しだけ裾を掴んでるところが可愛い、だなんて俺は本当に菜音が好きらしい


「どうしたんだ?」


菜音の方に向き合って、頭を優しく撫でてあげると菜音は、照れながらも嬉しそうに微笑む

なんだって菜音はこんなに可愛いんだろう。今すぐにだって抱き締めてやりたい。でもそこをなんとか理性で押さえつけてもう一度「どうした」と尋ねれば、菜音は躊躇うような仕草を見せたあと、小さく呟くように言った。


『…あの、ぎゅってしてもらってもいいかな』
「!」


尻すぼみに小さくなっていった声だけど、俺は菜音の言葉を一文字も聞き逃しはしなかった。

あの、全く自分から甘えてこようと菜音が俺に甘えてきている。これは俗に言うデレ期、なんだろうか。デレ期、うん。なかなかいいね


「いいよ、おいで」


いつでもいいよという意味を込めて両腕を広げると、菜音は一瞬戸惑ったあと、決心したように俺の腕の中へとそっと入ってきた。飛び込んでこない辺りが本当に菜音らしい


『赤司くん、あったかいね』


まるで猫みたいに擦り寄ってくる菜音を強く抱き締める。「苦しいよ」って菜音は苦笑いをするけれど、これくらいで済ませてるんだからいいと思ってほしいよ。

好きな相手に甘えられて、素直に甘やかすことだけを出来るほど、俺はまだ出来ていないんだから


「菜音、好きだよ」
『!私も、赤司くんのこと好きだよ』


あぁもう本当にどうしようもなく可愛くて、愛しい。何度も俺を呼びながら甘えるように体を擦り寄せてくる菜音を、一層強く抱き締めた




20121007
――――――
夜中のテンションは恐ろしいのだ。

***追記 20121104
公開すんの忘れてた!



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