赤司と手を繋ぐ







『、くしゅっ』


最近だんだんと風が冷たくなって、横を吹き抜けるのと一緒に体温まで奪っていっているような気がする。でも、私が寒いのが苦手だから余計に寒く感じるのかもしれない


「どうした?寒いのか?」
『ん、少し…。冷え症ってやっぱりキツいんだよね』


心配そうに私を見てくる赤司くんにでも大したこと大丈夫だよ、と笑う。寒くて辛いの外だけだし、学校内に入っちゃえばなんとかなるでしょ。

手と手を擦り合わせると、ちょっとだけ暖かくなったような気がする。その暖かさが風に持っていかれないように、手を袖の中に引っ込めると、なんだか快適。


「菜音」
『ん?』
「手、出して」
『へっ?』


今あっためたばっかなのに、手をまた冷やさなきゃいけないの。にこにこしながら私を見てくる赤司くんの意図がよくわからない。

…出したくないなぁ、でも赤司くんに言われたしなぁ。

さらば、ぬくもり!私は君が大好きだったよ…

するっと袖から手を出せば、赤司くんは自分の手と私の手を繋いで、しかもしっかりと指を絡めて繋いで、自分のブレザーのポケットへと入れた


『…え』


なにこのカップルっぽい感じ。赤司くんを見上げると赤司くんは何だか楽しそうに笑っていた


「こっちの方があたたかいだろう?」


そうして強く握られる手。なんだか別の意味で辛くなったのはどうしてだろうか。



20121104
――――――
この2人は付き合いたてとか、付き合う直前とかそんな関係だと思う。



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