花宮と屋上でサボる





『みーつけた!』


その言葉と共に日除け代わりに使っていた参考書を奪われて、急激に明るくなった視界にオレは眉間に皺を寄せた。

…ったく、久しぶりのサボりにとんだ邪魔が入ったもんだ

表面上は優等生として振る舞っているから、なかなかサボりなんて出来やしない。
でも今日はあまりにもつまんねぇクソみたいな授業ばっかりだったから保健室に行くって嘘吐いて屋上でサボってた

それなのに……、このクソアマ………


『真面目優等生気取りの花宮がサボりなんて珍しいねー。』
「うるせえ、黙れ」
『わぁ、怖い』


ふざけたことをほざきながら奴はオレの隣へと座る。そして、へらへら笑いながらクソアマはオレに手を伸ばしてきた。


「触んな」


その手を パシン と音をたてて振り払う。『花宮ひどっ』なんて声が聞こえてきたけど、んなの無視だ無視。構うだけ無駄だ


『もー、花宮ツンデレ』
「んなわけねぇだろバァカ。お前頭沸きすぎ」
『うわー、ツン全開過ぎるー。』
「意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇよ」


でこぴんの一発でも食らわせてやんないとだまんねぇのか。
そう思って振り返ってオレはでこぴんを食らわそうとしていた指を、止めた。


『…わかんなくないし』


オレのいる方向とは反対側に向けられているあいつの顔。
でもあいつがどんな顔してるかなんて見なくたってわかる。
それなりに一緒にいたんだからな。


「…何拗ねてんだよ。餓鬼かよ」
『餓鬼じゃない。』
「充分餓鬼だろ」
『うるさい。花宮のが餓鬼ーっ』
「はぁ?誰に言ってんだよ?」


無防備な首根っこを掴んで引っ張ると、不意をつかれて反応できないままの菜音が倒れ込んでくる。
すかさず両手で菜音の顔を挟んで、顔を覗き込んでみればほら、思った通りだ


「んな、泣くの我慢して馬鹿みてぇな顔になってる餓鬼に餓鬼呼ばわりされたくねぇよ」
『うるさい、花宮がツンツンしてるのが悪いの』
「はっ、じゃあお前はオレにデレて欲しいのか?」
『……いや、想像したら思いの外キモかったからいいや』
「ふざけんなこのクソアマ」


顔を真っ青にして心底気持ち悪そうに顔を歪める菜音。こいつ、舐めてんだろ
しかも、うっぷ…とか言い始めやがってまじでうぜぇ。


「まぁ、オレは優しいから一回だけデレてやる。有り難いと思えよな、クソアマ」
『遠慮しときますまろまゆさん』
「うぜぇ」


むかつく、こいつすげぇむかつく。
折角でこぴんすんのやめて優しくしてやろうとしたのに…。
チャンスを逃したのはお前だからな?
にやりと口元を歪めれば、菜音が『え…』と声を漏らしたのが聞こえた。

さぁて、こいつでどう退屈しのぎをしようかな


20101103
――――――

花宮の口調がイマイチわからない…
愛はたっぷりってことで多目に見てくださいな!

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